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敬虔(けいけん)に祈りて秋の恵みかな

小山正見

東京室内声楽アンサンブルの第25回定期演奏会。場所は東京・狛江のエコルマホールである。
暑い土曜日の午後だった。自分から音楽を聴きに行くことはないが、従姉妹の家族が出演するということで出かけた。目的の一つは久しぶりに従姉妹の顔をみることだった。
700人は入ろうかと思えるホールはほぼ埋まっている。東京の何処に行ってもこうしたホールがあり、催しが行われている。東京は文化都市なのだと改めて思う。
写真は、当日のパンフレットの表紙である。
ペルゴレージの「聖母マリアの夕べの祈り」がこの日の演目であった。合唱団が時間を掛けて積み上げてきた成果が試される。
会場にソプラノ歌手の美しい声が響く。まるで身体が楽器のようだ。思わず聞き惚れる。指揮者の金井敦さんの立姿が凛としている。
合唱団にいる従姉妹の娘さんの位置も
確認した。
ぼくにとっては、バッハもベェートーベンもショパンも同じだ。ペルゴレージが何者なのかも知らない。
パンフレットに目を落として、ようやく気がついた。これはミサ曲、宗教音楽なのだ。
ご丁寧に、歌詞とその訳が書いてあるのだ。
「主よ、私をお救いください」
「主よ、あなたに感謝を捧げます」
「わたしの魂は主をあがめ」
「我らのために祈りたまえ」
おそらく、聴く方も演奏する方もキリスト者ではないだろう。綺麗な音楽だと聴き入るがそれ以上でも以下でもない。これがもし、イスラム教信者だったらどんな気持ちで聞くのだろう。
キリスト教信者なら酔いしれるように聴くのかもしれない。
キリスト教でも宗派がある。この歌詞を受け入れる宗派と受け入れない宗派があるのではあるまいか。と余計な心配までしてしまう。
いずれにしても、僕らとは全く異なる聴き方をするに違いない。
ソロの歌手と合唱団の素晴らしい音色だけが、頭の中奥に残っている。無宗教ゆえに素直にこのメロディを味わえたのだとしたら、感謝して良いのだろう。
従姉妹が元気でよかった。