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湯けむりの炭酸泉に柚子百個

小山正見

もうすぐ78歳になるというのに、今年も学校に授業に赴くなど俳句関係の仕事を多く頼まれた。忙しく疲れることもあるとは言え、幸せなことだと思う。その上、俳句フォトの連載をいただくなど、生き甲斐にもなっている。
今年最後の仕事を終えて、綱島にあるスーパー銭湯「綱島温泉湯けむりの庄」行くことにした。
綱島駅から歩くと20分以上かかるが、送迎のバスがある。定員は9名。
その日は乗り遅れ、次のバスを15分待った。

寒風にバスを待ちたる時間かな

湯けむりの庄は、いつものように混んでいた。
風呂に入ると、ぼくの好きな炭酸泉に柚子が大量に浮かんでいた。
「そうだ、今日は冬至だ。」
浮かんでいる柚子を見て、初めて気がついた。そう言えば「冬至風呂」や「柚子湯」という季語もある。
最近、俳句にご無沙汰しているのて、この際、久しぶりに挑戦してみようと思った。
まずは、冒頭の句である。

湯けむりの炭酸泉に柚子百個

実際にはそれ以上だった。

肩の辺に寄せ来る柚子の数多かな

あまりの柚子の多さに目が痛くなる。

柚子の香の目に沁み渡る露天風呂

正面に浸かっている男と目が合った。

目の前の仏頂面や冬至風呂

自分に目をやると手の皺が目立つ。湯でふやけると余計だ。

手の皮の皺のよじれる柚子湯かな

横にいた青年がすくっと立ち上がった。背中がつるりとし、肌がきれいだ。筋肉が生き生きと張っている。惚れ惚れするほどだ。

青年の尻美しき柚子湯かな

そう言えば、昔は風呂屋では前を隠すのが普通だった。ところが今はそんな人はほとんどいない。恥じらうことなく、皆堂々と歩いている。

堂々とぶら下げている冬至風呂

世の中も意識も知らないうちに変わるものなんだなぁ。今日の俳句挑戦はこれで終わりだ。