【初心者歓迎】俳句フォトの会 会員申込はこちら

秋暑く共栄堂のカレーかな

小山正見

暑さが戻った日、心の許せる友人と会うために神保町に出た。約束の時刻は14時なので、その前に昼飯を食べることにした。どうするか、一瞬迷って、共栄堂のカレーにすることに決めた。
共栄堂は古いカレー専門店である。創業は大正13年というからもう100年以上だ。ここのカレーはスマトラカレーだ。小麦粉を使わず、独特の苦味がある。そして、そこが旨い。共栄堂という店の名前の由来は、父に聞いた。父もここのファンだったのだろう。
同じ名前の共栄堂が新橋にもあったのだという。共に栄えようというので「共栄堂」としたが、喧嘩別れして、神保町だけしか残っていないというのだ。本当か嘘かは知らない。
共栄堂は、地下一階にある。階段を降りていく。この日は並んでいる人はいない。ラッキーだ。
「お一人ですか?」
すぐに席に案内される。
「相席でお願いします」
ここでは、これが当たり前だ。サラリーマン風の2人連れの前に座る。この前来たのは、コロナの前だ。どれだけ値上がりしているか不安だった。メニューを見る。
ポーク、ビーフ、エビと並んでいる。ポークは1300円だ。思ったほど高くなっていない。迷わずポークカレーを頼む。器いっぱいのカレーとライスが運ばれてくる。
絶妙な味と量だ。昔ながらの福神漬けとらっきょうは食べ放題。
辛さも丁度いい。共栄堂独特のカレーの色と苦味が何とも言えない。
食べている間中ひっきりなしに客が入ってきた。変わらぬ人気なのだ。
次に神保町に来た時にもまた来よう。
そう思って店を出た。
階段を上ったら暑い日差しが容赦なく照りつけていた。