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色も線も闊達灯火親しめり

小山正見

練馬まで「匠と誉の二人展」に出かけた。
匠とは、西田匠くんのことで、誉は匠くんのお母さんである。
誉さんは、妻の邦子と同じ職場で仕事をしていた。妻が最も信頼を寄せていた方の一人だ。匠くんのことは我が家でも度々、話題に上った。感泣亭においで下さったこともある。
その匠くんは今19歳になる。
匠くんは、小さい時からアトリエグループフルーツに通い、絵を描き続けてきた。
作品の一つが写真の絵である。その匠くんに触発されて、お母さんも絵を描き始め、実現したのがこの「二人展」だ。
会場でお母さんと話をしていると、そこに匠くんがお父さんやお祖母ちゃんと一緒に現れた。学校を卒業し、施設に通い作業をしたり、楽しんだりしているという。
お祖母ちゃんに会ったのは、初めてだ。家族全員を前にして、気がついたことがある。
それは「幸せ」ということだ。一人一人の顔が穏やかで仲の良さがひしひしと伝わってくるのだ。
半年前の匠くんの展覧会で感じたそのままが何倍にも増幅された。

絵を描きて描きて描きて青野へと  正見

匠くんのことを考えると、一人の詩人の顔が浮かぶ。服部剛さんだ。
服部さんは、『我が家に天使がやってきた ダウン症をもつ周とともに』の著者である。

 宝物         服部剛
染色体が一本多い周が
生まれて半年が過ぎた
ある夜の夫婦の会話で
まだ、りゅういんが、落ちないと妻は言う

りゅういんが、体の何処に
ぶらさがっているものなのか知らないが
りゅういんを、無理に
削ぎ落とすのではなく
りゅういん、に
この手をそっと当て
不思議な色に変わるのを、ぼくは見たい

悩める妻よ
周の可愛い可愛い寝顔を見つめる時
僕等を両親として
何処か遠い国から会いに来た周が
すやすや寝ている夢の中に、視えるのだ

世界でたった一人である周の
いのちの輝きそのものが

その服部剛さんに詩人の谷川俊太郎がメッセージを寄せている。その最後の部分

「こんなママとパパで周くんよかったね。「天の息吹」を吹きこまれて生まれた周くんに出会えて、パパとママよかったね。パパの詩に守られて、三人とも元気で生きていってください」