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霾(よな)曇りいつたいどこのどなたかな

小山正見

ブレーメン通りで会釈をされた。
何となくお会いしたような気はするが、いくら思い出そうとしても思い出せない。
名前を忘れるのは20年前から始まっている。職員の離任式でのことだ。さっきから普通に呼んでいた名前が、朝礼台の上で突然出なくなる。
人の名前ばかりか物の名前も出てこない。ある時は「コンビニ」という名前がどうしても出てこなかった。
最近はその度合いが進行しているようだ。
毎月1回認知症のグループホームで句会のようなものをしている。毎月お会いするのに、その方々の名前が全く出てこないのだ。
ただ、ここでは「最近物忘れが激しくなって名前を忘れちゃったからもう一度教えて」と言っても違和感がないからいい。
その僕が、今日中原区の名刺交換会に出た。
これが、面白かった。お偉い人の会ではない。地域で活動している人や事業を営んでいる人の交流会なのだ。
グループに分かれ、お互いの活動を紹介し、交流し合う。地域でお花を育てている方もいれば、包括支援センターの職員さんもいる。町会長さんもいれば助産婦さんもいる。
地域の活動を掬い上げ、支援しようとする区の姿勢が頼もしい。
ふと見るとぼくの方をニコニコして見ている男性がいる。
どこかで見た顔だと思ったが、思い出せない。するとその方が一人の女性を紹介してくれた。地域ケアを担当する課長さんだった。
男性の名札を見ると「副区長」とあった。そう言えば、1回お目にかかったことがあることを思い出した。向こうは覚えていてくれていたわけだ。
区長からも挨拶されてしまった。
子ども文化センターの方からは「俳句教室」を依頼された。
ぼくがいつまで、みんなの顔を覚えていられるのか、それが問題である。