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残暑

俳句フォトエッセイ

こぼれても亦こぼれても萩の花

今年は、残暑もあまり感じないままに秋が深まってきた。いつの間にか曼珠沙華が咲き、金木犀の香りが漂ってくる。しかし、秋の花の代表は、やはり萩だろう。草冠に秋と書いて「萩」。字そのものから、萩は秋の花であることがわかる。詩歌の世界では萩は秋の欠かせない題材である。遡れば、万葉集でも萩を詠んだ歌は多いという。山上憶良は、秋の七草の先頭にこの「萩」を挙げている。俳句の世界で有名なのは、『おくのほそ道』での芭蕉と、その旅を共にした曾良の句である。芭蕉は、市振の宿で伊勢に向かう遊女を哀れに思い、同行させてほしいという願いを断りながらも《一家に遊女も寝たり萩と月》と詠んだ。

俳句フォトエッセイ

煌々と東京駅の秋の夜

例年なら「残暑、残暑」で暑くて堪らない頃だ。それが今年はおかしい。長袖でその上に上着を着込んでも丁度いい日もある。すっかり秋の装いだ。久しぶりに東京駅に行った。都政新報の取材が目的だが、ここではネタバラシはしない。来週の火曜日の記事を読んでほしい。東京駅は随分変わったものだ。南北のドーム屋根が大正時代の開業当時の姿に復元されたのは、もう10年以上前だが、きれいにライトアップされ、言いようもない雰囲気を醸し出している。丸ビルや新丸ビルには、洒落たショップやレストランが並ぶ。驚いたのは、八重洲側だ。こんなに高層ビルが軒を並べているとは!そのどれも煌々と灯りを灯している。

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秋の雨炭酸泉の湯の加減

【銭湯紀行】20元住吉今井湯今井湯は我が家から一番近い銭湯である。取り上げるのは2回目である。歩いて15分だ。しかし、なかなか家から出かける気にならない。この日は、武蔵小杉で行われている椿句会の帰りに寄った。椿句会は、今回で648回目。月に一回として、54年の歴史を持つ。数年前Nさんに頼まれ、指導を引き受けることになった。会の伝統で6句出し、8句選が続いている。ぼくが始めたのは、毎回の句会報を書くことぐらいだ。久しぶりの今井湯に入って驚いたのは、券売機が新たに設置されていたことである。今はこの方式が銭湯の主流になっている。番台で金銭を取り扱わない方が安全で、管理も楽だからだろう。

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スイーツや(屋)残る暑さを食ひに行く

初案は「秋来たりスイーツの店誕生す」だったが、今日はあまりに暑いので、句を変更した。ブレーメン通りに新たにスイーツ屋が開店した。この店があった前は、酸素で体をなんとかというショップだった。その前はタピオカの店だった。さらに遡るとソフトバンクのショップがあった。くるくると変わって一昨日からスイーツ屋だ。ぼくにとってのスイーツのルーツは70年前に遡る。「グラニュー糖」だ。ぼくの祖父は医者だった。グラニュー糖はその薬局にあった。お手伝いをすると、グラニュー糖を薬包に包んでご褒美としてくれた。人差し指につけて舐めた。年に数回ケーキが出た。当時のケーキはバタークリームが主で好きではなかった。

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通勤の自転車並び草の絮(わた)

武蔵野線の三郷駅である。ぼくの住んでいる元住吉からはずいぶん遠い。この三郷に月に一度通っている。認知症対応のディサービスで皆さんと一緒に俳句を楽しむ会をしているのだ。参加者は20人弱。簡単に言えば、参加者の方々の口から出た言葉を五・七・五の形に整えて、作品化し共有する。瞬時に整えるのは難しいが、こども俳句の経験が生きてくる。約一時間でこの日は60句ぐらいできた。「暑かったねぇ。残暑だね。何してた?」「何もしてないよ。グダグタしてただけ」★何もせずグダクダしてた残暑かな「私は昔はテニスやってたの」★暑くてもテニスやってる残暑かな笑って答えない人いる。

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電線の影の溶けたる残暑かな

9月に入ったのに暑い。日傘を差して出かけた。ふと振り返ったら、電線の影が見えない。一瞬ギョッとした。単に太陽光線の角度がずれて道に影が写っていないだけなのだが(笑)。影が溶けたのかと思った。自分の中の暑さの記憶を辿ってみた。子供の頃、汗をかいた記憶はあるが「暑い」という形での記憶はない。子供は暑さを感じないのだろうか。ぼくにとっての「暑さ」の記憶は、東京の気温が初めて39°Cを超えた1994年が一つ。この年、ぼくは西麻布の学校に勤務していた。冷房のない教室で毎日汗を流していた。歩道の壁の熱さに驚いた。二つ目はモンゴル旅行である。草原では馬が頭を寄せ合い、陰を作り合っていた。

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ゴルフする残る暑さを友として

ゴルフの打ちっぱなし練習場である。この暑さ、蒸し暑さなのにいっぱいである、ぼくもゴルフ練習場に通ったことがあった。40年近く前の話だ。ゴルフというのは、確かにハマるゲームだ。クラブに球が当たり、スコーンと飛んだ時の爽快感は忘れられない。その上、バンカーショットやパターなど小技が必要となる。単純そうだけど結構複雑なゲームだ。何回かグリーンに出たことがある。広い緑を独り占めする優越感も計り知れない。金持ちのゲームと揶揄しながらも惹かれてしまう(笑)。出会ったのは都立教育研究所に1年間だけ研究生として通った時期だ。隣の研究室のNたちと仲良くなった。誘われてグリーンに出たというのがきっかけである。

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秋めきぬ風引き連れて南武線

今日も暑い。冷房の中に一日中閉じこもっていたい1日だ。しかし、それでも何となく空気が違う。秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬるという紀貫之の歌がある。現代ほどではあるまいが、平安時代の残暑もそこそこに暑かったのだろう。植物を見れば、秋の気配は濃厚である。猫じゃらしは緑のままだか、そころそんしょに生えている。郊外に行けば、コスモスも花をつけ始めている。赤蜻蛉が飛び回っている。こんなに暑くても秋は来るのだ。とここまで書いたところで、Facebookを見たら、オカリナ奏者の中村純子さんが、「鹿島田にもつくつくほうしが来たぞ!」と投稿されているのを見つけた。