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秋の雨炭酸泉の湯の加減

小山正見

【銭湯紀行】20
元住吉 今井湯

今井湯は我が家から一番近い銭湯である。取り上げるのは2回目である。
歩いて15分だ。しかし、なかなか家から出かける気にならない。
この日は、武蔵小杉で行われている椿句会の帰りに寄った。椿句会は、今回で648回目。月に一回として、54年の歴史を持つ。数年前Nさんに頼まれ、指導を引き受けることになった。会の伝統で6句出し、8句選が続いている。ぼくが始めたのは、毎回の句会報を書くことぐらいだ。
久しぶりの今井湯に入って驚いたのは、券売機が新たに設置されていたことである。今はこの方式が銭湯の主流になっている。番台で金銭を取り扱わない方が安全で、管理も楽だからだろう。
入浴料に加えて貸しタオルセットと小さな石鹸を買う。この石鹸は泡立ちがよく使い捨てにするのがもったいないほどだ。頭髪もこの石鹸で洗う。シャンプーやリンスのヌルヌルが好きになれない。石鹸の方がすっきりする。
今井湯の一つの売りは炭酸泉だろう。ぬるめの炭酸泉はスーパー銭湯にも引けを取らない。体を包む泡の感覚が心地よい。さらに細かい泡で真っ白なシルク湯があり、炭酸泉より少しだけ湯温が高い。これまた気持ちいい。仕上げに湯温の高めのジェット風呂に入るのがぼくのやり方だ。もちろん、サウナや水風呂もあるのだが、ぼくには無縁の存在だ。
さすが中原区と思わせるのが、靴箱やロッカーのいくつかにフロンターレの背番号がプリントされていることである。ここはフロンターレの町なのだ。
9月に入り、今年は残暑らしい残暑はない。むしろ肌寒いほどであるが、炭酸泉にしっかり浸かると身体中がほてって暖かくなる。
「ああ、いい湯加減だ」と思いながら帰宅した。

この句の季語秋

秋の雨あきのあめ

秋に降る雨。冷たく、寂しい趣がある。