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イベント開催報告:俳句フォトの会 吟行「実りの里山を詠む 寺家ふるさと村」(10月25日)

寺家ふるさと村 俳句フォト吟行 イベント報告(2026年10月25日開催)

2026年10月25日(日)、俳句フォトの会の吟行「実りの里山を詠む 寺家ふるさと村」を開催しました。9月20日に予定していましたが、台風が近づいたため延期し、この日にあらためて開催したものです。参加者は9名でした。

朝9時20分、東急田園都市線の青葉台駅に集合し、路線バスで寺家ふるさと村へ向かいました。

実りの秋の田んぼ道

ふるさと村の案内図の前で、まずは歩く道筋を確かめます。その先には、谷あいに田んぼが広がっていました。刈り取りを終えた田、黄金色の穂を垂れたまま刈り入れを待つ田、稲架(はさ)に掛けられて乾くのを待つ稲。一枚ごとに違う表情を見せる田んぼに、参加者は歩き始めてすぐ足を止め、スマートフォンを構えていました。

乾いてひび割れた田の土、あぜ道に咲くアザミ、草むらに赤く熟した実。しゃがみ込んで足元をのぞき込む姿もあちこちで見られました。

寺家ふるさとの森へ

田んぼ道から雑木林の「寺家ふるさとの森」へ入ります。熊野池のほとりでは赤い実をたわわにつけた木を見上げ、東屋で一息ついてから、木の階段を登って尾根道を歩きました。木漏れ日の中、小さな白い花や苔むした幹にレンズを向ける人、池の水面越しに空を写す人。思い思いに森の中の秋を探しました。

森を抜けると、青空の下に再び田んぼが広がります。

91歳の農家の方との出会い

この日いちばん心に残ったのは、田んぼで稲架掛けの作業をしていた農家の方との出会いでした。小山が思い切って声をかけると、91歳の今もふるさと村で米作りを続けているという方でした。

稲架に掛けた稲は、強い風が吹くと倒されてしまいます。乾くまであと1〜2週間はかかるので、次の台風がどう通り過ぎてくれるかが心配だそうです。米は1年に一度しか穫れません。担い手が年を重ねたいまでは、田んぼに土を盛って畑にし、近くの団地に住む人たちに貸している所もあるといいます。古代米も育てていると聞いて、皆で「何色だったか」と首をひねりました。

最初は少し離れて見ていた参加者も、話が弾むにつれて一人、また一人と輪に加わっていきました。気づけば、農家の方のほうが楽しそうに話してくださっていました。小山もこの日いちばん印象に残った場面として挙げていました。

景色を遠くから眺めるだけでなく、一歩近づいて声をかけてみる。写真で一点に焦点を当てると見えてくるものがあるように、吟行でも、近づいてみて初めて出会える風景や言葉があります。そのことを、身をもって教えられた時間でした。

色づき始めた木々に囲まれた水車小屋、柿の実をたわわにつけた木、農産物の直売所に並ぶ柿やみかん。実りの季節の里山ならではの風景を、存分に味わいました。

青山亭での昼食

昼食は、里山の中にある食事処・青山亭で。座敷に上がり、お弁当や天ぷら付きのおそばをいただきました。

料理を待つ間は、「中学・高校時代に何部だったか」をみんなで当て合う遊びで大いに盛り上がりました。テニス、剣道、弓道、演劇、軽音楽、吹奏楽と、答えはさまざま。「見た目の印象とずいぶん違う」「言われてみれば納得」と、笑い声の絶えないひとときになりました。吹奏楽部で打楽器を担当していた方の「出番が一瞬だからこそ、ずっと全体の音を聴いている」という話には、皆が感心して聞き入っていました。ふだんはなかなか聞く機会のない話も自然と出てきて、座敷で一つの卓を囲んだからこその、打ち解けたひとときになりました。

四季の家で句会

午後は、寺家ふるさと村の「四季の家」の研修室へ移り、俳句フォトの制作と句会を行いました。午前中に撮った写真を選び、五・七・五の言葉を重ねて一枚に仕上げていきます。ついさっきまでのにぎやかさから一転、会場は静かな集中に包まれました。

この日は44句の俳句フォトが集まりました。作品を一枚ずつ大きな画面に映し、作者自身の解説や他の参加者の感想を交えながら、小山正見が講評を加えていきました。

足元の草花やどんぐり、目の前に広がる田んぼ、その奥の里山、そして空。小さな風景から大きな風景までがそろった寺家ふるさと村らしく、今回は題材も実に多彩でした。同じ道を歩いても、目のつけどころは人それぞれです。ふるさと村のうなぎの看板を、まるで泳いでいるかのように捉えた句。秋の空に浮かぶ雲の形に、ほかのものの姿を見立てた句。里山に熊は出ないという道中の会話を取り込み、柿の実る村ののどかさを詠んだ句。台風の多かった今年の秋を乗り越えて実った稲に思いを寄せた句。倒れた木のうろにたまった水を、お酒に見立てた句。どの作品にも、その場に立った人だけの発見がありました。

講評では、次の一句につながる具体的な助言が続きました。

  • 「うなぎ」はそれだけで季語。ほかに季節の言葉を足さなくてもよい
  • 「苦労」のように気持ちを言い切ると説明になってしまう。言い切らずに、写真に語らせる
  • 寄り添う稲を「支え合い」と見るのはわかりやすいが、人の生き方の教訓に寄ってしまいやすい。教訓ではなく、句そのもので感じさせたい
  • 写真だけでなく、文字の位置や大きさまで含めて一つの作品。左右対称の構図なら、文字も真ん中にやや小さめに置くと落ち着く
  • 同じ写真でも、詠むところはいくつもある。一つがうまくいかなければ、別のところを詠めばよい

最後に、参加者が一人一句ずつ、心に残った作品を選びました。「一句に絞るのは難しい」という声も上がりましたが、小山は「一句に絞ると、その人の俳句観が見えてくる」。選んだ理由を一人ずつ語り合い、写真と言葉の結びつき、リズムの心地よさ、景色の奥にある時間など、それぞれが大切にしているものが浮かび上がりました。

小山の講評を聞くだけでなく、参加者どうしが感想を伝え合い、作者の思いを聞くなかで、一句の読みが深まっていく。そんな句会のかたちが、この日はごく自然に生まれていました。

稲刈りの前の田、刈り取った田、稲架掛けの田。今回は、稲が実ってから刈り取られ、干されるまでのすべての段階を一度に見ることができました。小山も「都会に暮らしていると、こういう風景にはなかなか出会えない。すばらしい吟行地だった」と振り返りました。歩くコースや会場を選び、当日の案内まで引き受けてくださった白井先生に、あらためて感謝いたします。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。次回の例会は11月15日(日)を予定しています。詳しくは決まり次第ご案内します。皆さまとまたお会いできることを楽しみにしています。

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