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スイーツや(屋)残る暑さを食ひに行く

小山正見

初案は
「秋来たりスイーツの店誕生す」だったが、今日はあまりに暑いので、句を変更した。
ブレーメン通りに新たにスイーツ屋が開店した。
この店があった前は、酸素で体をなんとかというショップだった。その前はタピオカの店だった。さらに遡るとソフトバンクのショップがあった。
くるくると変わって一昨日からスイーツ屋だ。
ぼくにとってのスイーツのルーツは70年前に遡る。
「グラニュー糖」だ。
ぼくの祖父は医者だった。グラニュー糖はその薬局にあった。お手伝いをすると、グラニュー糖を薬包に包んでご褒美としてくれた。人差し指につけて舐めた。
年に数回ケーキが出た。当時のケーキはバタークリームが主で好きではなかった。
小学校の時はアイスクリームだ。10円だったか20円だったか。チョコバーや最中アイスにハマっていた。
デパートの食堂でクリームソーダを泡だてて飲んだ。
牛乳にカルピスの原液を入れて飲むのも好きだった。
高校3年の時、自由が丘のモンブランでケーキを頼んだら中から木の欠片が出てきた。
和菓子より洋菓子の方が断然好きだった。
酒は飲めないのにブランデーを染み込ませたサバランは大好物だった。
珈琲にはスプーンで砂糖を三杯も入れて飲んだ。甘いものには目がなかった。甘ければ甘いほどよかった。
港区に勤めていた頃は、帰りにミルフィーユをよく食べた。生クリームの甘さが詰まっていた。
そして糖尿病になった。
今は珈琲に砂糖を入れない。ケーキもアイスクリームもほとんど食べない。
食べたいともあまり思わなくなった。
それなのに時折コージーコーナーのジャンボシュークリームを無性に食べたくなる。
新装開店のスイーツ屋のメニューには、各種のトッピングでデコレーションしたアイスクリームやハワイアンアサイー、そしてりんご飴まで並んでいる。
この店にぼくは入ることはないだろう。
それはいいとしても、女子高校生がいかにも好きそうなこの店、5年後にはどうなっているだろう。そちらの方が気になってしまう。