【初心者歓迎】俳句フォトの会 会員申込はこちら

ランナーもゐて逝く春惜しみけり

小山正見

【銭湯紀行】その6
神保町 梅の湯

神保町と言えば千代田区。そんな都会の真ん中にも銭湯はある。
都営新宿線神保町駅の新宿寄りの改札口を出て、歩くことわずか2分。
大通りから入った細い路地に目立たないようにある小さな銭湯である。
浴槽は一つだが、その中に電気風呂、ボディジェット、ハイパージェットと3つのバリエーションが備わっている。壁絵もないシンプルな造りだが、ボディソープとシャンプーは備え付けられているのはありがたい。お湯の温度はおよそ40度だ。比較的ぬる目なので、いつまでも入っていられそうな心地よさだ。
客は10人弱、年配の方が多いが、外国人が二人いた。一人の老人が、英語で彼らに話しかけ始めた。
ドイツから来たとか、次は姫路に行くとか、おぼろげに会話が聞き取れる。
洋服の脱ぎ着もおぼつかないような爺さんがぼくに話しかけてきた。
「地震があったようだね」と。
よく見ると、その爺さんが着ようとしているのは、スポーツウェアだった。
「まさか」と思ったが、「走られるのですか?」と聞いてみた。すると
「皇居を一周して来た」
と平然と答える。たしか、一周は5Kmほどだ。その距離を走り終えた後のようだ。
他にもランナーらしき人がいた。梅の湯は皇居を走るランナーたちの基地になっているのだ。
外に出ると、風が心地良かった。汗が引いていくのが分かる。仕事帰りのサラリーマンが大勢駅に向かっていた。