俳句フォトエッセイ2025.09.10刀折れ矢尽きたれど薔薇の赤小山正見ここは、俳句研修会で訪れた江東区立北砂小学校のエントランスである。一輪の薔薇が健気に咲いている。この暑さの中である。全身創痍!花びらは破れ、朽ちかけている部分もある。それでも強烈な赤はそのまま保たれている。北砂小学校へは都営地下鉄新宿線の西大島駅で降り15分程歩く。途中、小名木川を渡る。小名木川は、旧中川と隅田川を結ぶ人工の運河で江戸時代に掘削された。小名木川の由来はこの地を開拓した小名木四郎兵衛に依るという説が有力だ。その小名木川の南側の土手に北砂緑道公園がある。その入口に俳人石田波郷の句碑が立てられている。雪敷ける町より高し小名木川砂町も古りぬ冬日に温められ砂町は、戦後波郷が暮らした土地だ。近くの砂町文化センターには「波郷記念館」が併設されている。はこべらや焦土の色の雀たちバスを待ち大路の春をうたがはず吹きおこる秋風鶴をあゆましむ霜の墓抱起されしとき見たり初蝶や吾が三十の袖袂雁やのこるものみな美しき六月の女すわれる荒筵などは特に有名である。公園の中をしばらく行くと波郷の「江東歳時記」の碑がある。江東歳時記は、波郷が昭和21年から読売新聞江東版に連載した写真、俳句、エッセイを組み合わせ、当時の人々や地域を描写した作品である。これは、まさしくぼくの「かわさき俳句フォト」の原型になっている。この碑の裏側を覗くと最後の方に「小山正見」の名前が彫りつけられている。その事情については以前述べたのでここでは省くが、もし、通りかかったら覗いてほしい。北砂小学校の先生方は若く元気だった。エントランスの薔薇のように真っ赤に燃えているが、違うのはこれから咲き誇る生気に満ち満ちていたことだ。
ここは、俳句研修会で訪れた江東区立北砂小学校のエントランスである。
一輪の薔薇が健気に咲いている。この暑さの中である。全身創痍!花びらは破れ、朽ちかけている部分もある。それでも強烈な赤はそのまま保たれている。
北砂小学校へは都営地下鉄新宿線の西大島駅で降り15分程歩く。
途中、小名木川を渡る。
小名木川は、旧中川と隅田川を結ぶ人工の運河で江戸時代に掘削された。
小名木川の由来はこの地を開拓した小名木四郎兵衛に依るという説が有力だ。
その小名木川の南側の土手に北砂緑道公園がある。その入口に俳人石田波郷の句碑が立てられている。
雪敷ける町より高し小名木川
砂町も古りぬ冬日に温められ
砂町は、戦後波郷が暮らした土地だ。
近くの砂町文化センターには「波郷記念館」が併設されている。
はこべらや焦土の色の雀たち
バスを待ち大路の春をうたがはず
吹きおこる秋風鶴をあゆましむ
霜の墓抱起されしとき見たり
初蝶や吾が三十の袖袂
雁やのこるものみな美しき
六月の女すわれる荒筵
などは特に有名である。
公園の中をしばらく行くと
波郷の「江東歳時記」の碑がある。江東歳時記は、波郷が昭和21年から読売新聞江東版に連載した写真、俳句、エッセイを組み合わせ、当時の人々や地域を描写した作品である。
これは、まさしくぼくの「かわさき俳句フォト」の原型になっている。
この碑の裏側を覗くと最後の方に「小山正見」の名前が彫りつけられている。
その事情については以前述べたのでここでは省くが、もし、通りかかったら覗いてほしい。
北砂小学校の先生方は若く元気だった。
エントランスの薔薇のように真っ赤に燃えているが、違うのはこれから咲き誇る生気に満ち満ちていたことだ。