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初売りの新車の中をただ覗く

小山正見

暇に任せて川崎駅まで出かけた。ラゾーナの前の広場でトヨタの車の初売りフェアが行われていた。
興味本位に覗いてみた。
一番安い車で150万円だ。高い車になると500万円をゆうに超す。
最近の車は車体が大きく車高が高い。6人乗りや7人乗りの車が主流になっているようだ。キャンピングカーもあった。子どもたちが中でキャッキャ言いながら遊んでいた。
HARRIERという格好いいセダンに首を突っ込んで見ていたら「どうぞ乗ってみてください」と声を掛けられてしまった。
「もう車を買う歳じゃあないから」と苦笑すると「乗るだけはただですから」と言われた。
最近はボタン一つでエンジンがかかるらしい。同じ車でも隔世の感がある。
ぼくが乗った最初の車はダイハツの軽だった。それも中古の360。高速道路を走ると排気口から黒い煙が上がって円を作った。
最初の新車のはホンダのシビックだった。深緑色の洒落た車だったが値段は60万円前後だったように記憶している。エンジンを始動するために、ガソリンを送り込むチョークという物があった。これを引きすぎてエンジンがかからないこともあった。3台目は父から譲り受けたカローラだった。
妻が仕事をやめたので、維持費の安い軽に替えた。性能が格段と良くなっていて、長野の山にも出掛けることができた。後ろの座席が倒せるので、子どもを寝かせるのに便利だった。
四台目は、ホンダのシビックシャトルという車種。これも後ろ座席が倒せたので、子連れの旅行に最適だった。
気に入っていたが、この車は長野からの帰り道ファンベルトが切れ、廃車にするしかなかった。しばらく車に乗らない期間があったが、その後カリーナEX IVの中古車を二台続けた。車高が低く、スタイルがぼくの好みだった。ラジエターに穴が空き、牛乳パックで水を補充しながら走ったこともある。
元住吉の実家に戻るにあたって車をやめた。免許証は失効して10年以上になる。
運転するはずもない車の中を覗き込むのは、単なる郷愁に過ぎない。