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大空の風を呼び込み秋桜

小山正見

 秋桜とはコスモスのことだ。原産地はメキシコである。日本に入ってきたのは明治の始め頃と言われている。花びらの形が桜に似ており、秋に咲くことから「秋桜」とも呼ばれる。
 背の高いものは1メートルを超す。日本中に広がり、今や秋の花の代表格になっている。
 東京一のコスモスの名所と言えば立川にある昭和記念公園だろう。500万本のコスモスが咲き乱れるというから壮観だ。都心の浜離宮恩賜公園のコスモスも見事だ。
 コスモスの語源はギリシャ語。宇宙を表す「コスモス」と同様、「調和」という意味らしい。
 小学校の国語の教材に今西祐行の「一つの花」がある。
出征する父が「一つだけ、一つだけ」とねだる子のゆみ子に手渡した一輪の花がコスモスだった。父は帰らぬ人となり、静かに暮らすゆみ子の家にはコスモスが咲き乱れた。
 山口百恵にも「秋桜」という歌があった。結婚で明日家を離れる娘と母親の心の交流を歌い上げたものだ。
 コスモスは、別れと愛の象徴なのかもしれない。
 そんな思いをよそにコスモスは風に揺れ続けている。