俳句フォトエッセイ2025.07.27始まりも終わりも緑七変化小山正見我が家の紫陽花は頭をちょん切ってしまった。もし、花をつけたままにしておいたら、写真のような緑に戻るのであろうか。紫陽花の花は実は花弁ではなく萼であり散らないと以前に書いた。次第に鈍色になり、色を失っていく。そのことは、よく観察し認識していた。しかし、この枯れた紫陽花の色は何となく咲き始めの紫陽花に似てはいないだろうか。紫陽花の異名に「七変化」がある。紫陽花は土壌の性質によって色が変わる。確か、酸性だと青になり、アルカリ性だと赤になるはずだ。「七変化」とはこの色の変化を指すものとばかり思っていた。がそればかりではない。薄緑の「花」に色がつき、そしてまた緑に戻る。その過程も「七変化」なのだ。調べてみたら、このことは常識らしい。この歳になってようやく常識に追いついたということかもしれない。句集『大花野』に二人して枯れたみどりを見てをりぬの句をおいた。この句はすでに緑ではなくなったみどりを茫然と眺めている図であるが、紫陽花の枯れたみどりは、枯れているとは言え、形もしっかりしているし、色も保っている。実は写真の紫陽花は、妻のお世話になっているグループホームの玄関にあるものだ。僕にとっては一筋の希望でもある。
我が家の紫陽花は頭をちょん切ってしまった。もし、花をつけたままにしておいたら、写真のような緑に戻るのであろうか。
紫陽花の花は実は花弁ではなく萼であり散らないと以前に書いた。
次第に鈍色になり、色を失っていく。そのことは、よく観察し認識していた。しかし、この枯れた紫陽花の色は何となく咲き始めの紫陽花に似てはいないだろうか。
紫陽花の異名に「七変化」がある。紫陽花は土壌の性質によって色が変わる。確か、酸性だと青になり、アルカリ性だと赤になるはずだ。
「七変化」とはこの色の変化を指すものとばかり思っていた。がそればかりではない。薄緑の「花」に色がつき、そしてまた緑に戻る。その過程も「七変化」なのだ。
調べてみたら、このことは常識らしい。この歳になってようやく常識に追いついたということかもしれない。
句集『大花野』に
二人して枯れたみどりを見てをりぬ
の句をおいた。この句はすでに緑ではなくなったみどりを茫然と眺めている図であるが、紫陽花の枯れたみどりは、枯れているとは言え、形もしっかりしているし、色も保っている。
実は写真の紫陽花は、妻のお世話になっているグループホームの玄関にあるものだ。僕にとっては一筋の希望でもある。