俳句フォトエッセイ2026.05.25星涼しミラーボールの回る空小山正見友人で詩人の服部剛さんの出演するライブが行われた。会場は、何と元住吉。綱島街道を渡ったところのPowers2である。こんなところにライブハウスがあるのにもびっくりしたが、それ以上に愉快だったのは、ライブの題名である。「核兵器はいらない。第2回世界玉こんにゃく協会世界大会」というのだ。主催は、ドリアン助川さん。知る人ぞ知る作家、詩人、歌手、大学教授である。著書『あん』は20以上の言語に訳され、樹木希林さん主演の映画にもなった。この夜の出演者は、服部剛さんの他に、ロックのユニットはんぺんブラザーズ、詩人の稀月真皓さん、それにドリアン助川さんの4組である。ぼくは、少し疲れていたこともあって、服部さんの朗読が終わったら帰ろうと考えていたが、あんまり面白いので、ついつい最後まで付き合ってしまった。はんぺんブラザーズの歌詞の面白さについつい笑い、稀月真皓さんの即興詩に舌を巻いた。ドリアン助川さんの声量は圧倒的だった。楽しかったのは、出演者が各々玉こんにゃくを題材にした作品を作って発表したことだ。ぼくは、詩は黙って読むものだとばかり思っていたが、それには身体性が加わると詩の力が増幅されることを改めて感じた。服部剛さんは、トップバッターだった。最初だけは少し緊張で固くなっているようだった。服部さんのように舞台慣れしている人でも緊張はあるんだなと微笑ましかった。しかし、服部さんの朗読には力が籠っていた。言葉の一つ一つに心が乗り移っているかのようだ。その力強さに聴衆が巻き込まれていく。息子の周くんを詠んだ詩は、次のような詩である。僕等の道 服部剛ダウン症と知った翌朝これからのことを考えようと僕は近所の林へ歩いて行った林の中に入り、ふと見下ろせば不格好ないも虫さんはにょっきり土の上を這っていた周よ芋虫さんが自分らしく生きるようにお前はお前のペースで、ゆっくり歩め林の中を進んで、ふと見上げれば枝に留まった蝉さんがつくつくほうし、つくつくほうしと鳴いている周よ蝉さんが全身で自らを奏でるようにお前はお前らしい声で、自らを歌え予定日より早く生まれた小さなお前が退院したらパパもママもいつもそばにいるのだからどんな天気の日にも僕等の道を一緒に歩み僕等の歌を一緒に歌おう林の中をさらに進むと木々の間から新たな日射しが、道を照らした服部さんは、周くんがダウン症の告知を受けた次の朝にこの詩を詠んだと話した。父親としての覚悟が伝わる詩だ。ぼくの人生の中でライブハウスのような場所の記憶はほとんどない。ミラーボールが回り、夜の星が天上を回っているかのようだ。何だか青春が戻ってきたかのようなときめきを感じたひとときでもあった。隣のカップルは静かに手を重ねていた。ぼくは両手を手持ち無沙汰に組んでいた。
友人で詩人の服部剛さんの出演するライブが行われた。会場は、何と元住吉。綱島街道を渡ったところのPowers2である。こんなところにライブハウスがあるのにもびっくりしたが、それ以上に愉快だったのは、ライブの題名である。「核兵器はいらない。第2回世界玉こんにゃく協会世界大会」というのだ。主催は、ドリアン助川さん。知る人ぞ知る作家、詩人、歌手、大学教授である。著書『あん』は20以上の言語に訳され、樹木希林さん主演の映画にもなった。
この夜の出演者は、服部剛さんの他に、ロックのユニットはんぺんブラザーズ、詩人の稀月真皓さん、それにドリアン助川さんの4組である。
ぼくは、少し疲れていたこともあって、服部さんの朗読が終わったら帰ろうと考えていたが、あんまり面白いので、ついつい最後まで付き合ってしまった。
はんぺんブラザーズの歌詞の面白さについつい笑い、稀月真皓さんの即興詩に舌を巻いた。
ドリアン助川さんの声量は圧倒的だった。
楽しかったのは、出演者が各々玉こんにゃくを題材にした作品を作って発表したことだ。
ぼくは、詩は黙って読むものだとばかり思っていたが、それには身体性が加わると詩の力が増幅されることを改めて感じた。
服部剛さんは、トップバッターだった。最初だけは少し緊張で固くなっているようだった。服部さんのように舞台慣れしている人でも緊張はあるんだなと微笑ましかった。しかし、服部さんの朗読には力が籠っていた。言葉の一つ一つに心が乗り移っているかのようだ。その力強さに聴衆が巻き込まれていく。息子の周くんを詠んだ詩は、次のような詩である。
僕等の道 服部剛
ダウン症と知った翌朝
これからのことを考えようと
僕は近所の林へ歩いて行った
林の中に入り、ふと見下ろせば
不格好ないも虫さんは
にょっきり土の上を
這っていた
周よ
芋虫さんが自分らしく生きるように
お前はお前のペースで、ゆっくり歩め
林の中を進んで、ふと見上げれば
枝に留まった蝉さんが
つくつくほうし、つくつくほうしと
鳴いている
周よ
蝉さんが全身で自らを奏でるように
お前はお前らしい声で、自らを歌え
予定日より早く生まれた
小さなお前が退院したら
パパもママもいつもそばにいるのだから
どんな天気の日にも
僕等の道を一緒に歩み
僕等の歌を一緒に歌おう
林の中をさらに進むと木々の間から
新たな日射しが、道を照らした
服部さんは、周くんがダウン症の告知を受けた次の朝にこの詩を詠んだと話した。父親としての覚悟が伝わる詩だ。
ぼくの人生の中でライブハウスのような場所の記憶はほとんどない。ミラーボールが回り、夜の星が天上を回っているかのようだ。何だか青春が戻ってきたかのようなときめきを感じたひとときでもあった。隣のカップルは静かに手を重ねていた。ぼくは両手を手持ち無沙汰に組んでいた。