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月末となりて散髪日和かな

小山正見

本当は、鎌倉吟行に行く予定だった。用ができて残念ながら断念した。
少し時間が空いたので床屋に行った。ほぼ、1ヶ月に一度行くことにしている。
この10年は写真の床屋だ。駅の横の細い路地を通り、住吉神社の脇を抜ける。決して便利なところではないのに、客は多い。
昔の床屋は半日がかりだった。I時間以上待って、ようやく椅子に座り、散髪も何もかも丁寧だ。終ると日が暮れているというのは大袈裟だが(笑)そして、その分高い。3,000円以上したと記憶している。
そこにQBハウスが登場した。いわゆる10分床屋である。しかも1,000円。それまで数千円掛かる床屋に行っていたのが馬鹿らしく感じた。
しかし、問題もあった。技術の差が激しいのだ。下手くそな人に当たると目も当てられない。
まだそれなりに髪の毛があった頃は、ハゲを隠すためにそれなりに長髪にしていた。ある時、下手な床屋に当たった。いつの間にか、どんどん髪の毛が短くなっていく。見かねて店長らしき人が出てきて、最後をうまく整えてくれた。
これまで経験したことのない短さになっていた。しかし、思った。
「これいいじゃん」
ハゲはどんなに隠しても隠しおおせないが、短く刈ってしまうと返って気にならなくなる野田。不思議だ。ぼくは、その時以来、短く刈り上げることにしている。
今は、昔ながらの床屋さんを見かけることがなくなってきた。
この数十年、色々な安い床屋に通った。上野広小路の店に通ったこともあるし、東京駅八重洲口の床屋に行ったこともある。そして今は、この店に落ち着いているというわけだ。
今の若い人は、美容室に行くらしい。それもいいだろう。髪の毛のあるうちだ。
無くなったら、刈り上げて坊主に近い方が絶対に楽だ。櫛すらいらない。整髪料や毛生え薬も不要だ。こんな楽なことはない。
1900円(シルバー割引)で散髪し、洗髪し、髭まで当たってくれる。
自分の足で動けなくなるまで、ぼくはきっとこの床屋に通うだろう。