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燕湯や燕飛ぶ飛ぶ燕飛ぶ

小山正見

【銭湯紀行】その15
御徒町 燕湯

三郷の日だった。認知症のデイサービスで利用者さんと俳句を楽しむ日だ。
面白い俳句ができる。

もう少し食べたいものは揖保乃糸
食べるならうどん屋さんのかき氷
この辺のかき氷ならあそこだな
田舎には田舎の味のかき氷

帰りの電車が寒い。最高気温が23度というのに、冷房ががんがん効いている。長袖を2枚重ねているのに冷気が染み渡ってくる。どうにかならないものか。

冷え切って風邪をひく前に「風呂で温まろう」。そう考えて銭湯を探した。
千代田線、湯島駅から歩いて5分の場所に燕湯がある。「今日はここにしよう」。位置としては、御徒町の松坂屋より、少し秋葉原に寄ったところだ。
行ってみて驚いた。実に古風な昔ながらの銭湯があった。まさに昭和だ。
番台が生きている。どっしりした高い天井、そして富士山のペンキ絵。
しかし、よく見ると富士山のペンキ絵には「ナカジマ」のサインがあり、2023年9月18日とある。そう言えば、原宿の銭湯の絵にも「ナカジマ」のサインがあった。「ナカジマ」とは銭湯絵師中島盛夫氏のこと。日本に2人しかいない銭湯絵師の一人である。
この富士山は「昭和」だけど「新しい」のだ。高い天井のペンキも剥がれていない。約3年前に改装したのだろう。
貸し出しのタオルもあり、30円。バスタオルも一緒に借りて100円と安い。サウナはない。浴槽も2つだけだが、なんと1つは溶岩の岩風呂のように装飾されている。
燕湯だけあって、つばめの飛び交う額が掲示され、ロッカーにはスワローズのステッカーがあちこちに貼られている。
営業時間は夜8時までと早仕舞いだが、朝は6時から営業しているらしい。
すっかり温まり、戻る途中に面白い喫茶店に出会った。その名は、「不純喫茶ドープ」。これまた昭和の装いの喫茶店であるが、「不純喫茶」とは。中に入ったら客は若い女の子だらけ。これまたびっくり。「昭和」に似合わず、現金不可の店だった。
タイムスリップした1日が終わった。