久しぶりに横浜に出た。
高校時代からの親友のSが倒れたと息子さんから連絡があり、見舞いに行く途中だ。
転倒し大腿骨を骨折し、脳内出血もある。寝たきりの状況だという。それに認知症の症状もあるというのだ。
ショックだ。
彼は、長年コンピュータソフトの会社に勤めていた。
現役時代には彼の会社のソフトにお世話になった。個人的にもホームページを作成してもらったりした。本当に気のおけないいい男だ。
雨がさーと降っては止む。
こういう雨の振り方を「時雨」というのだろう。本来は冬の季語だ。
ベイコーター！コーターとは４分の1のことだから、変なネーミングだと思っていたら「エリア」という意味もあるらしい。横浜駅東口からそごうの中をくぐり抜け、そこから歩く歩道に乗る。10分ぐらいだろうか。水のある光景はホッとする。
ここからシーバスが出る。幾度も乗った。煉瓦倉庫にも山下公園にも行く。
そんなことを思い出しながらも心が重かった。
東戸塚の駅で友人らと合流し、Sの入院している病院に向かった。
面会はできた。彼は驚くほど痩せ細っていた。痛々しいほどだ。
しかし、意識ははっきりしていた。会話も澱みない。時間はかかるかもしれないがコレなら大丈夫だと確信した。
認知症状は一時的な混乱だったのだろう。
胸を撫で下ろした。
やがて秋晴の日が来るに違いない。