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霾(つちふる)や戦争の本しか無い本屋

小山正見

久しぶりの深川だ。大横川の桜は葉桜に近くなっていたが、まだまだ「桜」だった。橋の上からひとしきり花見。今年最後だろう。
深川には、俳句を応援してくださる方が沢山おいでになる。昨年も日本学校俳句研究会の活動に多額の寄付をいただいた。そのお礼を兼ねてお目にかかりに行った。
その後、森下まで歩くことにした。幾度も通った道だ。三つ目通りの一本裏にあたる道だ。
「昼飯をどこで食うか?」
右側に鎌倉パスタが見える。
「スパゲティを食べる気分ではないな」
しばらく行くと左側に小洒落た店があった。深川にはこんな店が増えた。
「下町の代官山」と呼ばれているらしい。
よく見たら本屋だった。
「こんなところに本屋?」
客が入るんだろうか。
カフェも併設されていて、ランチもある。
積んである本を見て、びっくりした。極端に言えば、全て「戦争」に関わる本なのだ。分厚い研究書が並んでいる。棚の区分けは、ヒトラー、スターリン、ナチズム、ウクライナ・ロシア戦争関連etc
かつて話題になった岩波の「ナチスは「良いこと」もしたのか」もあった。
この種の本がこれだけ揃った本屋は日本の何処を探しても無いと思う。
聞くと
「オーナーの趣味なんです」
という答えが返ってきた。
興味深く読んでみたい本が何冊もあったが、人生の残り時間を考えてやめにした。
森下まで来たら、小さなこども向けの専門書店が開店していた。
本屋が街から消える時代。新しい形の本屋が登場しているのかもしれない。