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俳句フォトエッセイ

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プレゼントするなら絵本クリスマス

元住吉に本屋がなくなって久しい。本屋に足を運ぶ機会が随分と減ってしまった。こちらは、田園調布の駅前、いや駅上にあるくまざわ書店である。目立つところはまず絵本。大人向けの本や文庫は一番奥だ。「本は売れなくなった」と言うが、その中でも子ども向きの絵本だけはそこそこ売れているらしい。今年の本の売行きランキングの第一位は鈴木のりたけの『大ピンチ図鑑3』だと言う。ぼくも子どもの頃は随分と絵本を読んだ。『チビクロサンボ』『小さなおうち』地球の歴史の絵本も何度読んだかしれない。大人になってからハマったのは佐野洋子だ。『百万回生きたねこ』に涙を流した人も多いだろう。

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駅前の音楽隊もクリスマス

俳句では「も」という助詞は嫌われる。「も」というのは書かれていない別のものもあるということだから、曖昧になったり、もしくは主役を奪われることもあるからだ。それは兎も角、この写真は東急線元住吉駅前にあるブレーメンの音楽隊の像である。西口のブレーメン商店街を象徴している。商店街のイルミネーションも輝き、街は既にクリスマスムードだ。クリスマスは、元々キリスト教の行事だけど、一部の信者さん以外、それを意識している人はほとんどいないだろう。日本の商売人は仕掛けがうまい。平賀源内の昔からそれは始まっている。ご存知「土用の鰻」。本当は鰻は冬場が食べどきだそうだ。従って、夏場は売れない。

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古隅田と呼ばれし川の冬景色

古隅田川という名称は埼玉県春日部市と東京都葛飾区に残っている、見た目には「小川」であるが、かつては隅田川の源流であったらしい。この川の隣には「レンゴー」というダンボールを作る会社の工場がある。ぼくは50歳の時にこの地域にある葛飾区立小菅小学校に校長として赴任した。小菅小学校は千代田線の綾瀬駅と京成線の堀切菖蒲園駅との中間にあった。どちらの駅から歩いても11分の距離である。静かな住宅地にある学校だった。小菅に来る前にいた学校は港区立の御成門小学校だった。新橋や浜松町が学区域で、子どもがどこに所に住んでいるのか、さっぱりわからなかった。ところが、「小菅」は違った。道で保護者ともよく出会った。

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冬青空はばたけ北野晋太郎

挨拶しているのが北野書店の社長北野晋太郎だ。まだ、二十代前半の若者である。半年近く前、東京新聞川崎版の「小山正見のかわさき俳句フォト」でインタビューさせていただいた。その時の話にあった「書店のリニュアル」が終わり、今日は開店のプレオープンのセレモニーである。画期的なのは、「つながる本棚」として、図書館と同じ「日本十進分類法の本棚を取り入れたことだ。開放的な店内に少なく見積もっても100人以上の方が集まっている。「知っている顔はないか」と。見回してみた。目が合ったのはH氏だ。H氏は東京新聞の川崎支局長である。縁は奇なものだ。今朝次の「川崎俳句フォト」の原稿を送ったばかりだった。

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冬日向命沸(たぎ)りぬ壺の中

コロナの最中に、この壺に植えられた姫女苑を見て、生きるとは密になること姫女苑正見と詠んだことは、前に述べた。この壺の写真を見ると、更に密だ。命が沸っているかに見える。この植物は、ゼラニウムだろう。一年中花をつけることもあるそうだ。壺の裏側に回ったら、二輪ほど花が開いていた。ゼラニウムは、公園や学校の花壇など、至る所に見ることができる。それは、暑さにも寒さにも強く、日当たりさえ良ければ手入れもほとんど要らないからだ。咲く時期が長く、手入れがいらないとなれば、公園の花壇などに植えるにはうってつけだ。更にゼラニウムは、挿木(挿芽)でも簡単に増やすことができるので経済的でもある。

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冬薔薇の匂ひ漂ふカウンター

武蔵小杉に向かう途中、和田珈琲店のカウンターに座っている。目の前に薔薇をメインにした鉢があり、隣には小さな人形が並んでいる。フェルトのクリスマスツリーがある。いつもはセルフサービスのチェーン店だが、こういう店は心が落ち着く。午後からは「椿句会」と称する句会がある。3年近く前のことだ。当時の責任者の方から跡を継いでほしいと言われた。江東区を退職したばかりで暇だったのでお引き受けすることにした。それから毎月一度武蔵小杉に通っている。今日は時間があったので、いつもは通らない道を通ってみた。廃墟になった建物、空家が目につく。以前は確かに人の住んでいたアパートが草ぼうぼうになっていた。

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切先を天に伸ばして銀杏散る

「紅葉(黄葉)」は、秋の季語だが、東京の紅葉は遅い。気づけばもう十二月だ。急に木々が色付いてきた。桜紅葉も美しいが、銀杏の散る様には晩秋の風情がある。「銀杏散る」という季語は、銀杏の葉が降りしきるイメージだ。銀杏の起源は古く、2億7千年前の古生代に遡る。また、樹齢千年、2千年の巨木も各地に存在する。いずれにしても銀杏は長寿だ。燃えにくく、昔から寺社や武家屋敷などに植えられてきた。排気ガスにも強く、街路樹としても広く用いられてきた。銀杏は、東京都の木(オフィシャルツリー)にもなっている。銀杏並木と言えば、神宮外苑、絵画館前である。迷わず出かけた。

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ドナルドと仲良しになる黄落期

この人形をご存知であろうか。マックドナルドである。お一人でベンチに腰掛けておられたので、お隣に座らせていただき、記念写真を撮ったと言うわけだ。マックドナルドとは、世界で一番成功したハンバーガーチェーンであるが「マックドナルド」とは、ドナルドの息子という意味である。金田一秀穂の本で知った。日本人の名前は山本とか瀬川とか、自然に関係するものが多いが、西洋人は、家系を大事にする。◯◯J r.(ジュニア)も同じだ。JohnsonとかWilsonは、Johnの息子、willの息子の意味だと知って唖然とした。このベンチががあったのはホテルニューグランドの隣である。

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冬暖か佐伯誠の見る景色

千鳥ヶ淵に面するギャラリー冊からの景色である。11月22日から29日まで、佐伯誠さんを偲ぶ「ぼくの佐伯さん」と題する展示が行われた。会場には、佐伯誠さんの生涯にわたる様々な資料がよく整理され、所狭しと並べられている。中には、高倉健からの礼状もあった。こんな人だったのか、こんな仕事をされてきたのか。佐伯誠が明確な輪郭を持ってそこに存在しているかのようだった。『翼の王国』など、雑誌の仕事を中心とされていたようだが、独特なポップな文章が印象に残っている。ぼくがどのようにして佐伯さんと知り合ったのか、確たる記憶はないが、2020年以降、少なくても9回、二人だけで会っている。

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銀杏散る映(ば)えを狙つてツーショット

ご存知、神宮外苑の絵画館前である、都政新報の「暮らしを楽しむ俳句フォト」の取材を兼ねて出かけた。銀杏は12月いっぱいは持つかと思っていたが、もう相当に散っている。歩道は既に黄色く染まっている。そんなには長くもたないだろう。見に行ってよかった。神宮外苑の銀杏の特徴は、芯止めをしていないことだ。だから細く細く、上へ上へと伸びていく。多くの銀杏の並木が芯止めをして少しこんもりしているのとは対照的である。銀杏並木を見ながら考えたことは、「銀杏散る」という季語についてだった。「銀杏(いちょう)」だけでは季語にならない。銀杏散ると言って、初めて秋の季語になる」と子供たちには教えてきた。