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俳句フォトエッセイ

俳句フォトエッセイ

一瞬の赤極まりて晩夏かな

今日は夕方になってはじめて家から出た。空気は熱せられたまま残っている。東の空も赤い。夕焼けが乱反射した結果らしい。もう午後6時を過ぎている。手紙をポストに投函。少し、腹が減ってきた。「とんかつが食いたいな」ぼくは、時々そう思う。少々食欲のない時も食べられそうな気がするのだ。不思議だ。元住吉にとんかつ屋はない。立ち止まってスマホで調べてみたが、やはり無さそうだ。ラーメン屋は何十軒もあるのにとんかつ屋はゼロだ。(出せば儲かるんじゃないか?)日吉には美味いとんかつ屋がある。武蔵小杉にもある。しかし、電車に乗ってまでいく気にはならない。

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絶望は希望への種小鳥来る

ある人から『絶望名言』という本を紹介された。NHKのラジオ深夜便のコーナーを書籍化したものらしい。面白そうなので、早速取り寄せた。カフカから始まり、宮沢賢治まで12人の「絶望名言」が並んでいる。文学者だけではなく、ベェートーベンやピカソの言葉も俎上に上げられている。あとがきには、番組が出来るまでの経緯が紹介されている。冒頭にはカフカのぼくは人生に必要な能力をなに一つ備えておらずただ人間的な弱みしか持っていない無能、あらゆる点で、しかも完璧に。という言葉が取り上げられている。この「開き直り」に舌を巻く。開き直ることが希望への一歩かもしれないと思った。シェークスピアの明けない夜もある。

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警官の顔に吹き出す玉の汗

公園の柵に腰掛け、昼食を取っていた。あまり食欲はない。研修会の開始時刻が迫っていたので千代田寿司で干瓢巻きを買ったのだ。そこに警察の車両が止まり、警官が二人降りてきて、何やら調べている。どうやら事故があったらしい。ぼくにも「何か見ませんでしたか」と聞いてきた。この暑さで、警官の顔には既に玉の汗だ。「大変だなぁ」素直な感想だ。思わず「ご苦労様」と声をかけた。学生時代を思い出した。大学紛争の最中で、ぼく自身も若くて生意気だった。大学キャンパスから当時住んでいた学生寮に変える途中だ。時刻は午前2時頃である。警官に呼び止められた。「どこに行くんだ?」「そっちに行くんだ」「どこからきたんだ?」

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刀折れ矢尽きたれど薔薇の赤

ここは、俳句研修会で訪れた江東区立北砂小学校のエントランスである。一輪の薔薇が健気に咲いている。この暑さの中である。全身創痍!花びらは破れ、朽ちかけている部分もある。それでも強烈な赤はそのまま保たれている。北砂小学校へは都営地下鉄新宿線の西大島駅で降り15分程歩く。途中、小名木川を渡る。小名木川は、旧中川と隅田川を結ぶ人工の運河で江戸時代に掘削された。小名木川の由来はこの地を開拓した小名木四郎兵衛に依るという説が有力だ。その小名木川の南側の土手に北砂緑道公園がある。その入口に俳人石田波郷の句碑が立てられている。

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階段を上れば蝉時雨蝉しぐれ

8月の末になるのに異常な暑さだ。。夜になると虫の声が聞こえるというのに、森では蝉時雨がまだ止まらない。尚代先生のラボパーティの合宿に招かれて、相原にある自然いっぱいの施設に出掛けた。「俳句フォト」を教えてほしいとの依頼があったからだ。尚代先生との縁はもう10年近くになる。我が家で行っていた「感泣亭句会」にある時先生が顔を出されたのが始まりだった。次の日に連絡があり「こどもたちに俳句を教えてほしい」と頼まれた。それから毎年夏は尚代先生関係のイベントが入ることになった。コロナの間はzoomも活用して親子俳句教室を行った。去年は草津温泉まで出掛けて俳句フォトを楽しんだ。

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 新涼の工場夜景てふ穴場

川崎駅からバスで約20分。ここは、川崎区水江町である。運河の向こう側には東亜石油や日本触媒の工場の灯(あか)りが広がっている。暗い空が燃え上がるかのようだ。しばらく眺めていたら、後ろから足音がドヤドヤと聞こえてきた。観光バスが着いたのだ。工場に囲まれたこの場所は、今や工場夜景見学ツアーの中心になっている。いしだあゆみさんの「ブルー・ライト・ヨコハマ」をご存じだろうか。150万枚売れた伝説的なヒット曲である。1968年発売というから今から半世紀以上前の話だ。作詞の橋本淳さんは、この曲のモチーフにしたのは「川崎の工業地帯の青白い灯り」だったと語っている。

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休暇明け明日に控へて研修会

江東区の某小学校での俳句研修会である。この学校は校長先生が大変熱心で毎年研修会を組んでくれる。昨年は俳句フォトの研修を行った。転任者も多いということで、オーソドックスな研修内容に戻した。最初に「朝食俳句」を取り上げた。わかりやすい題材の一つだ。授業てもよくやるパターンである。「朝、何食べてきましたか?」目が合った先生に聞く。すると「まんじゅう」へぇ、そんな朝食もあるのだ。この「まんじゅう」を上五に置く。季節が既に秋だということを確かめ、下五に「秋の朝」と置く。まんじゅう+◯◯◯◯◯◯◯+秋の朝という形になる。すると考えるのは中七だけでよくなる。これなら容易い。

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秋めかぬ末の神社の灯かな

取材で川崎市の臨海部に出かけた。ゆっくり夕食を食べていたら、乗るべきバスを逃してしまった。「しまった」とは思ったが、「近くまで行くバスを探せばよい」と気を取り直した。スマートフォンの地図を見たら「臨港バス塩浜営業所」が近いことがわかった。そこにバスが来た。「塩浜営業所」行きだった。約20分。乗客は少なくなり、終点まで乗っていたのはぼく1人だった。「終点」やけに寂しい場所だ。そこで初めて気がついた。ぼくの乗っていたのは「市営バス」。市営バスが臨港バスの営業所に行くはずがない(笑)「あららら」同じ「塩浜」だからそんなに遠くはないだろう。スマートフォンに助けられた。

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何かしら文化の香り処暑の石

23日は二十四節気では「処暑」である。「処暑」とはそろそろ暑さもおさまる頃という意味である。角川の歳時記には水平にながれて海へ処暑の雲柿沼茂という例句が一つだけ載っている。この句からは秋の涼しさが感じられるが、今年はそんな風にいかない。暑さが空気の中に居座り、満ち満ちている。処暑の石組も写真では涼しげだが、実際は暑さ染み出しているのかもしれない。ここは地下鉄神保町の駅だ。岩波ビルの出口の石組なのである。このビルの最上階に岩波ホールがあった。色々な名画が掛かったが、一番印象深かったのは、「モリエール」である。モリエールは17世紀のフランスを代表する劇作家、俳優である。

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世の中に溶け込むフェイク秋暑し

本当にびっくりした。今日20日、本当に大谷は6試合ぶりに44号ホームランを打ち、ホームランダービーのトップに並んだ。ぼくもご多分に漏れず、大谷のホームランを毎日心待ちにしている。写真のYouTubeの記事は、実は昨日8月19日の記事なのだ。この日は大谷はホームランを打っていない。つまり、この記事は完全なフェイクということだ。すっかり騙された。大谷のホームランなら次の日になれば事実が判明する。しかし、難しい問題も沢山ある。例えば「投票用紙がすり替えられている」。というデマ。