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エレベーター

俳句フォトエッセイ

久々の八月納涼歌舞伎かな

「歌舞伎の一幕見を観に行きませんか」と誘いを受けた。出し物は「牡丹灯籠」だという。歌舞伎座の改築以来、一度も足を運んでいない。よく通ったのは20 年近くも前のことだ。一時は毎月のように見に行ったこともある。しかし、歌舞伎がわかっていたかというと、そうではない。踊りになると結構寝ていたことを思い出す。映画「国宝」のブームで歌舞伎座は大賑わいかと思ったが、予想外に空いていた。一幕見の天井桟敷にも空席が目立った。「牡丹灯籠」が、幽霊となっても恋を貫く話だと初めて知った。ぼくが観たのは第二場である。人間の欲がむき出しになる場面だ。女形の役者の所作に見惚れた。その途中、舞台いっぱいに雨が降り始めた。

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梅雨近し寝て寝て寝て寝て更に寝て

どうやら体がだるいのはぼくだけではなさそうだ。みんな寝ている。ここはどこだと思う?実は高輪ゲートウェイなのである。住民アンケートを無視して、JRが独断で決めたという駅名だ。操車場を削り、常識を覆した新しい街を作ろうという意欲を一方では感じる。駅も現代的だが、改札口を出るとすぐ前に高輪ゲートウェイシティが広がっている。目の前で自動運転の自動車の試乗会が行われている。テスラの展示場もある。その脇のビルの間を北に進むとあった。5階建てほどの変わったビルだ。植物の螺旋階段がビルの周りを取り巻いている。高輪ゲートウェイの駅もそうだが、今をときめく建築家隈研吾が深く関わっている。

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夏兆す元住吉の空の色

よく寝ているはずなのに朝から体が重い。歳のせいかもしれないが、もしかしたら気候のせいかもしれない。空は晴れていても梅雨が近いのだ。だるくても動き出すとそれなりにどうにかなる。勇気を振り絞って出かけることにする。元住吉駅のエレベーターは長い。いつもは、右側を歩いてのぼることにしている。じっと待っているのが耐えられないし、多少は運動になるからだ。しかし、今日はそれもカッタルイ。ぼくの記憶では、元住吉の駅は3代目だ。ぼくは、小学校一年生の時から東横線に乗って通学した。まだ、改札口で駅員さんが切符を切っていた時代だ。切符を切る手捌きもそうだが、一瞬で定期の期限切れを見つける眼力にも驚愕した。

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青空と東京タワーと聖五月

3日間通って、ようやく五月晴れの東京タワーを捉えることができた。神谷町駅を降り、飯倉の交差点を曲がると目の前が東京タワーだ。今日は雲一つなかった。人出は想像以上だった。外国人の団体が次から次へとやってくる。引率の日本人ガイドの冗談が耳に飛び込んでくる。エレベーターで45秒。展望台に上がる。目の前に東京の高層ビル群が林立している。お台場の海が光っている。この場所にいると東京という都市を丸ごと感じることができるかのようだ。現在では東京タワーの展望台より高いビルも珍しくない。それでもここが人気なのは、未来を信じられた時代へのノスタルジーかもしれない。

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薄暑めく東京タワー展望台

東京タワーの展望台に来ている。エレベーターで45秒だ。大型連休は終わったとは言え、相当な人出だ。目の前には高層ビルが林立している。麻布台ヒルズなどは見上げるほどの高さだ。スカイツリーは先っちょだけが見える。下を見たら懐かしい建物が見えた。港区立御成門小学校の校舎だ。ぼくは45歳からの5年間、毎日東京タワーを見て過ごした。最初の3年間は麻布小学校から、次の2年間は御成門小学校からである。御成門小学校は、桜小や神明小など6つの学校が合併して開校した。40年前としては、最新の設備を備えた学校だった。エレベーターはもちろんだが、全校児童を一堂に集められるランチルームもあった。