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江東区

俳句フォトエッセイ

花木槿うす紫の濡れそぼる

友の家に行く途中に木槿の花を見つけた。どちらかといえば、少数派の薄紫色。それも半八重だ。雨に濡れてひっそりとした風情があり、つい立ち止まってしまった。木槿は、一般に一日花と言われる。朝咲いて、夕方には花がしぼむからだ。しかし、この木槿は夕闇が迫っているのに一向にしぼむ気配がない。木槿という花を知ったのは、芭蕉の『野ざらし紀行』の句《道のべの木槿は馬にくはれけり》からである。実物を初めて見たのは、江東区の芭蕉記念館である。ここの庭には芭蕉が詠んだ植物が所狭しと植えられており、「馬にくわれたのはこの木槿か」としげしげと眺めた記憶がある。それ以降、町のあちらこちらに木槿の花が咲いていることを知った。

俳句フォトエッセイ

鶴亀の戯れてゐる夏の夕

【銭湯紀行】その16東大島春の湯歴史のある銭湯なのだろう。見事な欄間彫刻の透かし彫りである。よく見ると鶴亀が戯れている。長寿への願いが込められているのだろう。江東区の某小学校で俳句の教員研修会を行った。学校が建て替え改装中だったので、仮校舎だった。何度も行って知っている場所なのだが、何となく記憶が曖昧だ。いつものことだが、よく調べもしないで行くので間違えたらどうしようと不安があった。無事辿り着くと、新しい校長先生が迎えて下さった。副校長先生もここでは初対面だったが、他区でぼくの授業を受けたことがあり、句集『大花野』も読んでいて下さった。

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街並みの古き記憶や蜃楼

江東区の枝川から豊洲へ向かう道である。ぼくは川崎に移り住む以前、つまり14年前までこの近くのマンションに暮らしていた。地下鉄の豊洲駅からこの道をよく歩いた。まだ工場が残る暗い道だった。ぼくの歴史を遡るとこの道を初めて通ったのは45年前である。第二辰巳小学校への転勤が決まり、門前仲町からバスに乗った。当時はマンションなど影も形もなかった。橋を越えた左側には、日新製糖の工場があった。右手にあったのは石川島播磨の工場群だった。夜になると裸電球の街灯だけがポツンと灯っていた。工場群を過ぎると忽然と現れたのが第二辰巳小学校のある都営団地だった。この道をぼくは10年通った。

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花疲れ身をほぐしたるジェットバス

【銭湯紀行その3】西大島久の湯大島と言っても伊豆大島ではない。江東区の大島である。亀戸クロックにBe ACTO亀戸主催の桜俳句掲示2026を見に行ったのだ。小学生から中学生が詠んだ俳句が実にきれいにパネルで展示されている。広い亀戸クロックの中を歩き回って、ようやく展示に辿り着いて、少々くたびれた。昨日は桜祭りだったようだ。桜の並木道を辿って西大島に出た。「疲れをとるには風呂が一番」こんな時、スマホは便利だ「近くの銭湯」と話しなければ、すぐその場所を教えてくれる。「第二久の湯」と出た。しかし、実際にあったのは「久の湯」。細かいことはどうでもいい。昔ながらの銭湯だ。

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木漏れ日に誘(いざな)われたる小春かな

「小春」は冬の季語である。「春になる前触れ」と捉えている方もいるが、それは違う。冬になりたて、つまり今頃の季語であ。「小六月」も同様な季語だ。写真だけ見ると武蔵野の雰囲気だが、実は江東区だ。清澄庭園の隣の清澄公園である。明治小学校の5年生で俳句の授業をして、午後の句会のために八名川小学校に向かう途中だ。現職時代、この公園はよく通った。この公園を抜けると八名川小学校から門前仲町まで歩いて約20分。更に当時住んでいた塩浜の我が家まで20分。圧巻は、いちょうの散る時期だ。永遠に続くかと思うほどのいちょうの舞い散る様子には思わず足を止めてしまう。

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酉の市所狭しと福の札

今年は11月11日と24日が酉の市である。酉の市というと浅草鷲神社と相場が決まっているが、実は都内だけで30箇所以上で酉の市が行われる。ぼくは、かつて江東区に住んでいたので、富岡八幡宮に行くことが多かった。今年は新宿の花園神社にでかけることにした。ここは規模が大きい。出店の数は圧倒的だ。靖国通り沿いは全て屋台に占められている。熊手を売る店は60店舗程。それぞれの店に番号が振られている。毎年、同じ店が同じ場所に店を出すのだ。各店には、すでに今年買いに来るはずの客の名札が用意されている。一度縁ができたら永久に?その絆は保たれる。

お知らせ

イベント開催報告:俳句フォト深川吟行 ~俳聖 松尾芭蕉ゆかりの地を巡るツアー~(11月16日)

2025年11月16日(日)、俳句フォトの会では「俳句フォト深川吟行~俳聖松尾芭蕉ゆかりの地を巡るツアー~」を開催しました。当日はやわらかな雲が流れる明るい晴天となり、会員の皆さま、一般参加の方々とともに、深川の自然や歴史に触れながら俳句フォトを楽しむ一日となりました。清澄庭園では、冬空の光や池の景色、季節の草木に目を向けながら撮影を楽しみました。石橋を渡ったり、植物を観察したりと、参加者それぞれが思い思いに撮影ポイントを探し、深川ならではの風景に触れていました。昼食は、地元で長く親しまれている割烹みや古で名物「深川めし」をいただきました。

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気がつけば芭蕉の池の秋深む

久しぶりに江東区森下にある芭蕉記念館を訪れた。第24回深川芭蕉小中学生俳句大会の表彰式のためである。ぼくはこの大会に3回目から関わり、選考委員を仰せつかっている。ぼくの他、選考委員は堀本裕樹先生と藺草慶子先生。お二人とも俳句界を背負って立つ大俳人である。三人の共通項は、いずれも江東区の小中学生に向けて俳句の授業をした経験者だということだ。この日は大きな賞を受けた10人の小中学生とその保護者が出席した。来賓として大久保江東区長や本多教育長も見えられた。

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金色の透けるが如く女郎花

女郎花(おみなえし)とは、こんな綺麗な花だったのか!とびっくりした。俳句を始める前は、これが一体なんの花か知らなかったし、知ろうとも思わなかった。セイタカアワダチソウの親戚ぐらいにしか思わなかったかもしれない。女郎花はご存知のように秋の七草の一つである。万葉集での山上憶良の秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花萩の花尾花葛花瞿麦(なでしこ)の花女郎花また藤袴朝貌(あさがお)の花この二首の歌を見れば秋の七草は分かる。朝貌の代わりに桔梗を入れたりもする。尾花とは薄(すすき)のことである。すすきの穂が動物の尻尾に似ていることから「尾花」の名前がついた。

お知らせ

【2025年11月16日開催】俳句フォト深川吟行 ~俳聖 松尾芭蕉ゆかりの地を巡るツアー~(募集締切りました)

(俳句フォトの会主宰)講師紹介小山正見 1948年川崎生まれ、元校長、俳人。教育現場で子どもたちと俳句を楽しみ、退職後は写真に俳句を添える表現活動を継続。東京新聞川崎版に「小山正見のかわさき俳句フォト」連載中。都政新報にて2025年9月から「暮らしを楽しむ俳句フォト」連載開始。句集『大花野』では、認知症の妻との暮らしを静かに見つめた言葉を綴る。内容松尾芭蕉が『奥の細道』の旅に出発した深川。この歴史ある地を巡りながら、秋の深川の魅力を写真に撮り、俳句と組み合わせた「俳句フォト」を創作する吟行(散策しながら俳句を創作する活動)です。俳句フォトの会主宰・小山正見が丁寧に指導いたします。