2026年7月19日(日)、俳句フォトの会例会が感泣亭にて開催されました。
夏本番を迎えたこの日、『俳句フォトの会』主宰の小山正見が講師を務め、俳句の基礎知識から夏の季語、そして写真と俳句を組み合わせる楽しみ方まで、和やかな雰囲気の中で解説を行いました。
新聞連載の最終回、そして新たな出会い
今回の例会は、小山が長年続けてきた新聞連載「小山正見のかわさき俳句フォト」が最終回を迎えた節目の時期に行われました。川崎市役所から望む富士山の写真に始まり、40回近くにわたって川崎のまちと人を撮り続けてきた連載。「結局は人だ」――取材を重ねるうちにたどり着いたその思いを、小山はあらためて語りました。
この連載を毎回楽しみに読んでこられた方が、「最終回を読んで、これは何が何でも先生のところへ」と、今回初めて例会に足を運んでくださいました。横浜からおよそ40分をかけて通ってこられたその新しい参加者の方をお迎えし、俳句フォトの輪が着実に広がっていることを実感する一日となりました。
俳句の本質を、古典から読み解く
基礎講座では、『古今和歌集』仮名序(紀貫之)を教材に取り上げました。「花に鳴く鶯、水にすむ蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける」――生きとし生けるものすべてが歌を詠む、という有名な一節です。
ここで小山が注目したのは「蛙(かわづ)」でした。古来、蛙は「鳴き声」を愛でる生きものとされてきました。ところが松尾芭蕉は「古池や蛙飛び込む水の音」と、声ではなく水に飛び込む「音」を詠んだ。それまでの常識をひっくり返し、新しい観点で対象を捉え直したところにこそ俳句の本質がある、と解説しました。「きれいな俳句を作ってコンクールに応募しても、なかなか採ってもらえない。少し変わった見方こそが面白い」という言葉が印象的でした。
子どもたちの俳句で「選ぶ目」を鍛える
続いて、小学生が詠んだ6つの句を使ったワークショップを行いました。小山が実際に選んだ3句はどれか、参加者が予想して当てるという趣向です。
参加者からは「見たものをきれいに表現している句」「大人でも使いそうな言い回し」など、さまざまな視点が飛び交い、活発な意見交換となりました。
選ばれた句に共通していたのは、素直な観察、思わず笑みがこぼれるユーモア、そして身近なものに引き寄せた比喩――いずれも、感情や結論を直接語らず、具体を通して伝える力のある句でした。「言いたいことをあえて言い切らない。そこを子どもらしい実感でどう表すか」という講評に、参加者一同うなずきました。前回に続いて挑戦した方の中には、みごと3句すべてを言い当てた方もいらっしゃいました。
夏の季語を、あらためて学ぶ
季語についても学びを深めました。夏を表す「山滴る」をはじめ、春の「山笑う」、秋の「山粧う」、冬の「山眠る」と、山の表情が四季で移ろうことを確認。さらに「祭」だけで夏の季語になること、「たけのこ」は春、「紫陽花」は別名「七変化」と呼ばれること、蛇やかたつむりにまつわる話題まで、季語の奥深さと面白さが次々と紹介され、和やかな笑いに包まれました。
作品を持ち寄り、鑑賞し合う
後半は、参加者の皆様が持ち寄った俳句フォト作品の鑑賞会です。各自が写真を投稿し、文字を重ねて一句に仕上げ、全員で選句・鑑賞を行いました。スマートフォンでの投稿や編集に初めて挑戦する方も、隣の方と助け合いながら操作を覚えていきました。
朝顔を詠んだ句では、「午後になっても咲き続ける朝顔」に作者が寄せた温かなまなざしをめぐって、「見守る親心のようだ」「今まさに開いた新鮮さを感じる」と読みが広がりました。冷や酒を題材にした句では、「溢るるにまかす」おおらかさと「日の名残り」の余韻が、人生観までも感じさせると好評。近所の垣根に咲く定家葛を撮った句には、その花にまつわる物語も添えられ、一句の背景が豊かに立ち上がりました。
一つ一つの作品に、小山が丁寧に講評を加えていきます。「季語を二つ重ねない」「去年のことではなく、今この瞬間を詠む」「写真で表せることは、あえて言葉にしない」――具体的な作品に即したアドバイスは、参加者にとって次の一句への確かなヒントとなりました。
おわりに
短い時間ながらも、新聞連載の節目、古典から学ぶ俳句の本質、子どもたちの瑞々しい感性、そして皆様が持ち寄った一句一句――盛りだくさんの学びと発見にあふれた、心温まる例会となりました。作品を通じて共感し合い、お互いの感性を分かち合う和やかな時間の中で、今回の例会は終了しました。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。今後も俳句フォトの魅力を多くの方と共有し、創作の喜びを分かち合える場を提供してまいります。次回の例会につきましては、決まり次第あらためてご案内いたします。ご参加を心よりお待ちしております。
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