【初心者歓迎】俳句フォトの会 会員申込はこちら

ガチャガチャに長き列あり春の朝

小山正見

「ガチャガチャ」とはカプセルトイのことだ。ハンドルをがガチャガチャ回すと中の商品が出てくるので、「ガチャガチャ」と呼ばれるのだろう。
我が家では殺虫剤のことを「しゅーしゅー」と呼んでいたことを思い出した。
カプセルトイの歴史を辿ると、元々はアメリカが発祥の地で、ガムが出てくる子ども向けの装置だったらしい。
それが日本に入ってきて、大進歩した。今では大人が夢中だ。
元住吉に「ガチャガチャ」の店ができたことは、以前のエッセイで述べた。
「カプセル楽局」。「薬局」だとばかり思っていた。間違えたのはぼくだけでなく、実際に処方箋を持って訪れた人もいるらしい。
ある日の朝、その「カプセル楽局」の前に長蛇の列ができている。10時の開店を待っているのだ。ぼくには、信じがたい光景だった。
「あの列は一体何なのか」
それが不思議で、帰りに寄ってみた。
無人のスペースに小さなおもちゃが入った白い箱が積み重ねられ、整然と並んでいる。所狭しと並んでいる。
アイスクリームの模型だったり、昆虫だったり、アクセサリーだったり。
まぁよくこれだけの種類のミニチュアを作るものだ。
値段を見ると、200円から500円程度。
何が出るかわからないというのも魅力なのかもしれない。
珍しく従業員らしき人がいた。トイボックスの鍵を開け、お金を回収している。全て100円玉だ。
その姿を見ていて、400もあるであろうトイボックスの全ての商品管理をする大変さを思った。仕入れや支払いの仕組みはどうなっているのか。
商品の補充や注文だって気の遠くなる仕事だろう。
ガチャガチャの店が成り立つには、裏側のそうした仕組みが整っていることなのだ。
従業員の人に尋ねてみて、その日が新商品の入荷日だったことがわかった。
それならそれで納得がいくが、同時にぼくと時代との隔たりを感じざるを得なかった。