俳句フォトエッセイ2025.09.02ゴルフする残る暑さを友として小山正見ゴルフの打ちっぱなし練習場である。この暑さ、蒸し暑さなのにいっぱいである、ぼくもゴルフ練習場に通ったことがあった。40年近く前の話だ。ゴルフというのは、確かにハマるゲームだ。クラブに球が当たり、スコーンと飛んだ時の爽快感は忘れられない。その上、バンカーショットやパターなど小技が必要となる。単純そうだけど結構複雑なゲームだ。何回かグリーンに出たことがある。広い緑を独り占めする優越感も計り知れない。金持ちのゲームと揶揄しながらも惹かれてしまう(笑)。出会ったのは都立教育研究所に1年間だけ研究生として通った時期だ。隣の研究室のNたちと仲良くなった。誘われてグリーンに出たというのがきっかけである。そのNは豪快な男だった。父と親交があった詩人田中克己の甥?ということも親近感を持った理由の一つだ。心を許せる友になった。Nはゴルフの時いつも女性を伴っていた。奥さんではない女性だ。仲間内では公然の秘密だった。研究所を去ってからも親交は続いた。いつの間にか2人は校長に昇進していた。退職はまだまだ先というある年の3月の終わり、Nから電話が掛かってきた。「俺、この3月で退職するから」「どうしたんだ?」「まあ、いろいろあってね」何だか釈然としない。「落ち着いたら、また会おう」と電話は切れた。そのままNは忽然といなくなった。仲間の話では、「女と一緒に姿を消した」ということだ。ゴルフに連れてきていた女性とはまた別の人だという。何度か捜索を試みたが、行方はわからない。それから20年である。Nは、これまで築き上げた社会生活を全て捨てて、女性と新しい生活を始めたのだろう。ゴルフというと、ぼくはいつもNのことを思い出してしまう。
ゴルフの打ちっぱなし練習場である。この暑さ、蒸し暑さなのにいっぱいである、
ぼくもゴルフ練習場に通ったことがあった。40年近く前の話だ。
ゴルフというのは、確かにハマるゲームだ。クラブに球が当たり、スコーンと飛んだ時の爽快感は忘れられない。その上、バンカーショットやパターなど小技が必要となる。単純そうだけど結構複雑なゲームだ。
何回かグリーンに出たことがある。広い緑を独り占めする優越感も計り知れない。金持ちのゲームと揶揄しながらも惹かれてしまう(笑)。
出会ったのは都立教育研究所に1年間だけ研究生として通った時期だ。
隣の研究室のNたちと仲良くなった。誘われてグリーンに出たというのがきっかけである。
そのNは豪快な男だった。父と親交があった詩人田中克己の甥?ということも親近感を持った理由の一つだ。心を許せる友になった。
Nはゴルフの時いつも女性を伴っていた。奥さんではない女性だ。仲間内では公然の秘密だった。
研究所を去ってからも親交は続いた。
いつの間にか2人は校長に昇進していた。
退職はまだまだ先というある年の3月の終わり、Nから電話が掛かってきた。
「俺、この3月で退職するから」
「どうしたんだ?」
「まあ、いろいろあってね」
何だか釈然としない。
「落ち着いたら、また会おう」
と電話は切れた。
そのままNは忽然といなくなった。
仲間の話では、「女と一緒に姿を消した」ということだ。ゴルフに連れてきていた女性とはまた別の人だという。
何度か捜索を試みたが、行方はわからない。それから20年である。
Nは、これまで築き上げた社会生活を全て捨てて、女性と新しい生活を始めたのだろう。
ゴルフというと、ぼくはいつもNのことを思い出してしまう。