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幽霊にまみえし納涼歌舞伎かな

小山正見

都政新報8/18付 「暮らしを楽しむ俳句フォト」44

友人から誘いがあり、二つ返事で歌舞伎座に向かった。
「牡丹灯籠」の一幕見だ。八月の歌舞伎座は納涼歌舞伎で怪談物がよくかかる。
歌舞伎座は久しぶりだ。若い頃はよく観に行ったが、改築されてからは初めてかもしれない。
改築前の一幕見は当日券のみで列に並ばなければならなかった。今は当日券もあるが、前日から予約ができるらしい。
「牡丹灯籠」は、三遊亭圓朝の人情噺が元になっている。死んでも恋する女の執念と金や色に迷う人間の欲を描いた話だ。ぼくが観たのは、第二場。演じる役者は若手が中心だが、幸四郎が三遊亭圓朝など二役を演じている。
映画「国宝」を観たせいか、女形の演技ばかりに目がいく。一つ一つの仕草が実になまめかしい。
幕が降りて胸に残ったのは、幽霊の怖さというよりも、人間の欲の深さからくる恐ろしさだった。
歌舞伎座の八月納涼歌舞伎は、26日(水)までである。暑い日は、冷房の効いた歌舞伎座の怪談噺で涼むのも良いだろう。
三遊亭圓朝のお墓のある谷中の全生庵では毎年「幽霊画展」が開催されているという。歌舞伎座の幽霊にまみえたついでに、こちらの幽霊にも会ってみたくなった。