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梅雨明けるそして自由がやつてくる

小山正見

これは佐伯誠のもじりだ。原文は次のとおりである。

最初にあったのは街だ。
それからジャズだ。
そして自由が歩いてきた。

何と洒落たことを言うんだろう。
祐天寺のparlourうみねこで7月12日までの行われていた「千の夜と108のマッチ」展。横浜の伝説的なジャズ喫茶ちぐさの貴重なマッチのコレクションが披露された。
これらのマッチをモチーフに松本祥孝氏の写真と佐伯誠氏が文章がマッチングさせている。
佐伯誠がこの世を去ったのは、昨年の8月11日。考えてみればまだ一年経っていない。
詩人で、フランス映画の字幕翻訳の第一人者だった山崎剛太郎の縁で知りあった。妙に馬が合った。何ヶ月かに一回喫茶店で会い、長い時間を一緒に過ごした。いつも半ズボンの軽妙ないで立ちで現れ、愛用の自転車で去って行った。
彼の紹介で野毛にあった取り壊される前のジャズ喫茶ちぐさにも出かけた。
最後に会ったのは、自由が丘だった。偶然入った喫茶店でご夫妻にあった。
それから数ヶ月後、彼は亡くなった。青天の霹靂だった。
この日、奥さまにお目にかかれなかったのは残念だったが、佐伯誠の生きているたくさんの欠片に出会うことができた。何よりも会場の雰囲気そのものがお洒落でそのまま「佐伯誠」だった。
生きているということは、こうやって友人を失い続けることなのだろう。そして、またぼく自身も失われる側に入るということだ。