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街守るカメラの上に燕の巣

小山正見

今年は、燕を見かけないと思っていたら、立て続けにその姿を見た。街なかだ。商店街を低空で飛んでいく。ぼくの方に向かって一直線に飛んできたかと思ったら急に反転して見えなくなった。その鋭い身のこなしに、佐々木小次郎の「燕返し」が頭に浮かんだ。
辺りを見回すと、パチンコ屋の軒先の防犯カメラの上に巣があった。親鳥が、すでに自分と同じくらいに成長した雛に餌を与えているところだった。
昔から燕は縁起の良い鳥とされてきた。「燕の巣がある家は繁盛する」という言い伝えもあるほどだ。
燕を幸運の象徴とするのはヨーロッパでも同じだ。例えばアンデルセンの『親指姫』では、傷ついた燕が恩返しをし、主人公を幸せへと導く存在として描かれている。
燕の一番の魅力は、やはり「渡り」だろう。あの小さな体で数千キロを飛ぶ。ヨーロッパの燕には、アフリカのサハラ砂漠を越え、一万キロを旅するものもいるという。
しかし、近年日本の燕の数は減少傾向にあるらしい。梅雨の集中豪雨で巣が崩落したり、猛暑で巣立ち前の雛が熱中症で死ぬことも多いらしい。気候変動は、燕にも影響を及ぼしているのかもしれない。
防犯カメラの上の雛たちは無事に巣立ってくれるだろうか。幸運を運ぶ燕には、いつまでも日本の空を飛び続けてもらいたいものである。
ぼくは、堀本裕樹の《南海の果てよりつばめつばめかな》という句が忘れられない。

都政新報7/14付 「暮らしを楽しむ俳句フォト」40