俳句フォトエッセイ2025.07.12煌々と 夕焼けの海 広がりぬ小山正見 世の中には、海を見る穴場のような場所がある。たとえば江ノ電の鎌倉高校前駅が、それだ。ホームから見る七里ケ浜の光景には特別感がある。実は同じようなすてきな駅が、川崎のすぐ近くにある。JR鶴見線の終点、海芝浦駅だ。 1926(大正15)年に貨物専用として誕生した鶴見線は、今年で100年目を迎える。鶴見から海芝浦までは約10分。沿線には、JFEスチールの工場やヤマト運輸の物流センターなどの巨大な建物が立ち並び、電車は工業地帯の中を進んでいく。終点の海芝浦駅も、東芝グループでエネルギー事業を行う「東芝エネルギーシステムズ」の敷地内にある。だから、一般の人は駅から外に出ることはできない。 ホームしかない奇妙奇天烈な駅と言ってよい。しかし親切なことに、駅の隣に「海芝公園」を会社が整備してくれている。緑に囲まれたベンチに腰を下ろし、海風に吹かれながら休むこともできる。ふと見ると、夏の花といわれる夾竹桃(きょうちくとう)が既に赤い花をつけていた。 海は目の前に広がっている。遠くに、鶴見つばさ橋や横浜ベイブリッジが見える。橋を通る自動車が夕日にキラキラと光る。小さく見えるのは羽田から飛び立った飛行機だろう。日が落ちると風が涼しい。夏カモメが海面すれすれを飛んでいく。闇が海をのみ込んでいく。海と一体になったような不思議な感覚に包まれる-。 電車の本数が少ないことを忘れてしまいそうだ。1本逃すと1時間以上待たなければならない時間帯もある。 インスタ映えの写真を撮るにも、デートスポットにもいい。そして何よりも、頭を空白にして海と向き合える駅。それが海芝浦である。小山正見のかわさき俳句フォトが6/29東京新聞川崎阪に掲載されました。 以下のリンクからご覧ください。https://www.tokyo-np.co.jp/article/415550
世の中には、海を見る穴場のような場所がある。たとえば江ノ電の鎌倉高校前駅が、それだ。ホームから見る七里ケ浜の光景には特別感がある。実は同じようなすてきな駅が、川崎のすぐ近くにある。JR鶴見線の終点、海芝浦駅だ。
1926(大正15)年に貨物専用として誕生した鶴見線は、今年で100年目を迎える。鶴見から海芝浦までは約10分。沿線には、JFEスチールの工場やヤマト運輸の物流センターなどの巨大な建物が立ち並び、電車は工業地帯の中を進んでいく。終点の海芝浦駅も、東芝グループでエネルギー事業を行う「東芝エネルギーシステムズ」の敷地内にある。だから、一般の人は駅から外に出ることはできない。
ホームしかない奇妙奇天烈な駅と言ってよい。しかし親切なことに、駅の隣に「海芝公園」を会社が整備してくれている。緑に囲まれたベンチに腰を下ろし、海風に吹かれながら休むこともできる。ふと見ると、夏の花といわれる夾竹桃(きょうちくとう)が既に赤い花をつけていた。
海は目の前に広がっている。遠くに、鶴見つばさ橋や横浜ベイブリッジが見える。橋を通る自動車が夕日にキラキラと光る。小さく見えるのは羽田から飛び立った飛行機だろう。日が落ちると風が涼しい。夏カモメが海面すれすれを飛んでいく。闇が海をのみ込んでいく。海と一体になったような不思議な感覚に包まれる-。
電車の本数が少ないことを忘れてしまいそうだ。1本逃すと1時間以上待たなければならない時間帯もある。
インスタ映えの写真を撮るにも、デートスポットにもいい。そして何よりも、頭を空白にして海と向き合える駅。それが海芝浦である。
小山正見のかわさき俳句フォトが6/29東京新聞川崎阪に掲載されました。 以下のリンクからご覧ください。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/415550