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蒼天に渦を巻きたる秋の雲

小山正見

妻がお世話になっているグループホームの前である。既に4年が過ぎた。ぼくはこの土地を200回以上見続けてきたことになる。
最初は畑でかなりの部分で作物が作られていた。昨年はキャベツが二畝植えられていたが、収穫されずに菜花の茎が伸び放題になっていた。
その土地を半分売ったらしい。白い膜が張られ、工事が始まったようだ。住宅かマンションだ建つ気配が強い。大きなクレーンが入っているのを見ればマンションの公算の方が高いだろう。
それにしても久しぶりの秋らしい空だ。湿度が下がったということだ。空の奥まで見通せるかのようだ。
空に見える雲は、おそらく巻雲だろう。巻雲は5000mから10000mに出来る雲というから確かに高い。動かないように見えるが、上空は相当な風が吹き荒んでいるに違いない。
秋の雲の代表格はなんと言っても「鰯雲」である。鯖雲とも鱗雲とも言われる。
空一面がこの雲に覆われると、何となく不気味な感じがするものだ。
「鰯雲」で最も有名な句は加藤楸邨の

鰯雲人に告ぐべきことならず

であろうが、ぼくは山口誓子の

一生に幾たびか全面鰯雲

の句に惹かれる。
今年は既に冬の寒さだが、明日7日は暦の上でももう立冬である。