【初心者歓迎】俳句フォトの会 会員申込はこちら

酉の市所狭しと福の札

小山正見

今年は11月11日と24日が酉の市である。
酉の市というと浅草鷲神社と相場が決まっているが、実は都内だけで30箇所以上で酉の市が行われる。
ぼくは、かつて江東区に住んでいたので、富岡八幡宮に行くことが多かった。
今年は新宿の花園神社にでかけることにした。ここは規模が大きい。出店の数は圧倒的だ。靖国通り沿いは全て屋台に占められている。
熊手を売る店は60店舗程。それぞれの店に番号が振られている。毎年、同じ店が同じ場所に店を出すのだ。各店には、すでに今年買いに来るはずの客の名札が用意されている。一度縁ができたら永久に?その絆は保たれる。そのくらい縁を切らずに大切にすることが商売繁盛のコツだということだろう。
それにしても熊手の飾りはすごい。
商売繁盛や家内安全のお札、小判、千両箱、大入袋、米俵、千客万来の札もあれば招福の文字も。更に宝船があり、招き猫がいる。寿の桝もある。その中に来年の干支の馬が駆けている。
そしてお客様の名札は熊手の右肩の辺りに差す。これも「右肩上がり」の縁起を担いだものだ。
「これでもか」とばかり縁起を担いだ熊手を威勢の良い掛け声と手拍子で送り出す。
何か良さそうなことが起きそうな気になっても不思議ではない。
掛け声と手締めの洗礼を受けた客の顔は例外なく輝いている。
側でご相伴に預かるぼくの顔も自然に崩れる。