俳句フォトエッセイ2025.12.10青春の六十年後の秋の暮小山正見ぼくが通っていた高校、都立田園調布高校の第14期の同期会である、55名が集まった。新宿の地下の薄暗いカフェが会場だった。何人から「おー!小山」と声を掛けられたが、名前を見ても思い出せない。同じクラスで仲の良かった子はいたが、姿はなかった。高校3年間の大きな出来事と言えば、一つは学校のすぐ隣を新幹線が通ったこと。授業中にクラス全員で通過する新幹線を見に行った。もう一つは東京オリンピックがあり、国立競技場で観戦したことである。ぼくは円谷が一万メートルで6位に入賞した場面を目撃している。恋の芽生えがあったのも高校時代だった。浜口(仮名)さんという女の子が好きになった。顔が丸く、目が大きな「可愛らしい娘」だった。ところが、その子は大阪に引っ越してしまった。ぼくは追いかけるように何枚も何枚も手紙を書いた。中身はラブレターよようなものではなかったと思うが、外形的にはラブレターそのものだった。修学旅行で京都に行った。それに合わせて浜口さんは大阪から出て来てくれた。楽しい逢瀬だったと思うが、そこでぷっつり縁は切れた。ぼくは恋というものに恋していたのかもしれない。その後、ぼくは他の女の子を好きになった。学校の帰りに多摩川土手を数回一緒に歩いたが、手を握ったこともなかった。卒業の間際に別のC子と日比谷公園でデートした。これも一回こっきりで終わった。こう思い出すと、かなり品行方正な高校時代だったことがわかる。
ぼくが通っていた高校、都立田園調布高校の第14期の同期会である、55名が集まった。
新宿の地下の薄暗いカフェが会場だった。
何人から「おー!小山」と声を掛けられたが、名前を見ても思い出せない。同じクラスで仲の良かった子はいたが、姿はなかった。
高校3年間の大きな出来事と言えば、一つは学校のすぐ隣を新幹線が通ったこと。授業中にクラス全員で通過する新幹線を見に行った。
もう一つは東京オリンピックがあり、国立競技場で観戦したことである。
ぼくは円谷が一万メートルで6位に入賞した場面を目撃している。
恋の芽生えがあったのも高校時代だった。
浜口(仮名)さんという女の子が好きになった。顔が丸く、目が大きな「可愛らしい娘」だった。
ところが、その子は大阪に引っ越してしまった。ぼくは追いかけるように何枚も何枚も手紙を書いた。中身はラブレターよようなものではなかったと思うが、外形的にはラブレターそのものだった。修学旅行で京都に行った。それに合わせて浜口さんは大阪から出て来てくれた。
楽しい逢瀬だったと思うが、そこでぷっつり縁は切れた。ぼくは恋というものに恋していたのかもしれない。
その後、ぼくは他の女の子を好きになった。学校の帰りに多摩川土手を数回一緒に歩いたが、手を握ったこともなかった。
卒業の間際に別のC子と日比谷公園でデートした。これも一回こっきりで終わった。
こう思い出すと、かなり品行方正な高校時代だったことがわかる。