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俳句フォトエッセイ

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新しき友は良き友山滴る

同じ様な頭が二つ並んでいるが、左は小山で右は須磨修一さんである。須磨さんは、住吉小学校での俳句の授業の参観に来て下さったのだ。先日の俳句フォトのイベントにも参加して下さった。須磨さんは、現在川崎市教育委員会が進めている「寺子屋事業」の下平間小学校での責任者を務めておられる。下平間小の寺子屋で11月に行なう俳句教室の下見を兼ねてということではあるが・・・・。たかだか二時間のために、これだけ準備される人に出会ったのは、初めてである。ぼくは、実は南相馬で須磨さんと擦れ違っている。「すごい人がいる」という噂だけは聞いていたがなかなか出会えなかった。

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特大のレンズの先の四葩かな

四葩(よひら)というのは、紫陽花の異名である。川崎のあじさい寺と言われる長尾山妙楽寺まで出かけた。JR南武線の久地の駅から、なんと「あじさい号」というコミュニティバスが出ている。約10分であじさい寺に着く。乗客のほとんどがここで降りた。駐車場はいっぱいで、入れない車の列ができていた。平日だというのに、相当な人出だ。境内の紫陽花は、千株を超すという。16日にはあじさい祭りも催される。本堂の前に立つ椋(おそらく)の大木が見事だ。境内はその名の通り、様々な種類の紫陽花で溢れている。見物客は手に手にスマートフォンをもち、紫陽花を画面に収めていく。僕もその一人だ。

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梅雨間近地上に深海水族館

沼津に行った。高校生への俳句の授業のためだが、前回見つからなかった深海水族館にまず行った。今度は場所の目星を付けておいたのですぐに見つかった。沼津の深海水族館は、深海生物を対象に特化した世界唯一の水族館である。深海博物館の隣にVR深海アドベンチャーディープクルーズというそっくりな施設があり、一瞬どちらに入ろうか迷った。深海水族館というのだから、何となく深海に潜るようにイメージがあったが、もちろんそんなことはない。普通の二階建ての建物である。しかし、二百種以上の深海生物が展示されており、二階にはシーラカンスが展示されていた。冷凍されたシーラカンスは、なかなか見応えがあった。

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打ち掛けの杭の如しや梅雨の雲

元住吉の駅から武蔵小杉方面を眺めた図である。十棟以上の高層マンションが林立している。確か、あの場所には東芝の工場があったと記憶している。駅前だし、便利だ。武蔵小杉は東横線と南武線が交差している駅だ。そこに、それまでは貨物線だった新線が加わった。この線で新宿にも千葉にも行ける。反対方向は横浜から鎌倉まで乗り換えなしだ。鎌倉は遠い観光地だと思っていたら、たった40分で着いてしまう。武蔵小杉が住みやすい町のベストテンに入ったのはわかるような気がする。東芝の跡地以外にも、土地を買収して次々に高層マンションが建設された。駅前の大型の商業施設グランツリーはいつ行ってもお客さんの足が絶えない。

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手を振つてくれる子のいて梅雨晴れ間

葛飾区立こすげ小学校に来ている。不釣り合いな巨大な体育館は、私が赴任した26年前から同じ場所に鎮座している。数年前からこすげ小学校の全学年で俳句の授業をしている。校庭を歩いていたら何人もの子が「小山先生!」と手を振ってくれた。一年に一度しかか会わないのに憶えていてくれるとは嬉しい。色々なことを思い出した。休み時間寄せ集めて「30分休み」を作った。子どもは遊ぶのが大事だ。せめて30分ないと存分には遊べないだろう。体育館の裏の空き地をハーブ園にした。事務の先生がやりたいというので、夏休みに作業した。瓦礫を取り除くのに苦労した。PTA会長の内藤さんが耕運機を手配してくれた。

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梔子の白の匂へる垣根かな

もう梔子(くちなし)か。今年は季節が進むのが早いような気がする。「くちなし」と言えば、渡哲也の「くちなしの花」を思い出す。俳句フォトで梔子を何回か取り上げたが、必ず渡哲也が登場している。若い頃は演歌好きでなかったのに、いつの間にかはまってしまった。入口は門倉有希だった。今、この名前を知っている人は少ないだろうが「ノラ」という歌がカラオケでの人気曲に入っている。門倉は1996年NHKの新人歌謡コンテストでグランプリをとり、紅白歌合戦にも出場した。森昌子をカバーした「哀しみ本線日本海」は中でも心に沁みた。一体何度聴いたことだろう。千回は下らないと思う。

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コーヒーと眼鏡パソコン夏の空

パソコンを持ち込んで、コメダでモーニングを食べる。9枚綴りの券を買うと、一回が460円ほど。値段はドトールのモーニングと変わらない。しかもWi-Fiも電源もある。一人席だとゆったりして仕事に打ち込める。最近は、パソコンの代わりにタブレットやスマホだけで過ごすことも多い。それにしてもパソコンの進化は凄まじい。ぼくが最初にパソコンに出会ったのは、二十代の後半、足立区の江北小学校に勤務していた時だった。加賀谷稔という先生が職員室に持ち込んできたのがNECのPC-6001という代物だった。勿論ブラウン管だ。フロッピーディスクすらなくて、カセットテープのデータを5分かけて読み込むとようやく立ち上がる。

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夏シャツに一点物のハンチング

言わずと知れたウイリアム・モリスの柄である。ウイリアム・モリスは、十九世紀後半に活躍したイギリスのアーティストで「モダンデザインの父」と呼ばれた。この帽子は、東横線の学芸大学にある帽子屋Viridianであつらえてもらったものだ。学芸大学は、祖父が昔に住んだ土地だった。母が懐かしがり、何度か付き合って散歩した。古い鰻屋があり、一緒に食べた。母が他界した後、その鰻屋を探して学芸大学に降りた。あったはずの鰻屋は姿を消していて、代わりに見つけたのが帽子屋Viridianだった。我が家の家系は帽子好きである。母はおしゃれで幾つも帽子を持っていたし、父も晩年まで帽子を愛用していた。

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この道を抜ければ紫陽花祭りかな

天気予報は雨だったのに、午前中は太陽すら出ていた。私は一昨年退職するまで江東区に二十五年も務めていたのに、紫陽花祭りの会場の亀戸中央公園に行ったことは一度もなかった。広大な公園だ。紫陽花は一体何処に咲いているのかと思った。祭りの会場を探しながら気持の良い緑の道を歩いた。水辺には見事な紫陽花が山のように花開いていた。俳句フォトのイベントは、何回も経験を重ねている。やり方も大体会得してきた。しかし、今回の紫陽花祭りでのイベントは、初めての野外開催である。電源すらない。その中でどう成功させるのか。スタッフと何回も検討を重ねた。その結果たどり着いたのがLINEのオープンチャットを使うという方法だった。

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ひつそりと門を閉ざしぬ夏館

思い立ってここに出かけてきたが、休みだった。写真のこの門構、正に夏館ではないか。実は、ここは画廊なのである。昔はどなたか様のお屋敷だったところを福岡にある会社が買取り画廊にしたと言う。広々としたリビングがあり、和室もある。それらの部屋にさりげなく絵がかけられている。中には、本物のピカソもルノアールもあったと記憶している。現代作家の個展もよく開かれている。庭もよく整備されていて、彫刻が据えられている。静かで優雅な空間だ。のんびりと絵を眺め、庭の風の音を聞く。心地よい時間が過ぎていく。私の好きな場所の一つだ。よく覚えていないが、初めてここに来たのは六年も七年も前だったように思う。