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懐かしい

俳句フォトエッセイ

秋の雨滝沢修の蘇る

被災した熊本は猛暑が続いているというのに、東京は例年になく雨が多い。それに気温が低い。にもかかわらず、カフェや電車の中は冷房ががんがん効いている。居場所がないので、早々に引き上げることにした。帰る途中新宿を通った。紀伊國屋書店に演劇のチラシが置いてあった。何気なく手に取るとこまつ座の公演だ。こまつ座の公演には何度足を運んだことか。ご存じのようにこまつ座は井上ひさしの作品を上演している。『兄おとうと』の演出は鵜山仁。今も第一線で活躍しているのだ。懐かしい名前だ。その隣にもう一枚チラシがあった。樫山文枝の名前がある。「ん?」「やはり、そうだ!」隅に劇団民藝公演とある。

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映画館なけれど六区夏は夏

暑い日だったが、約束があって浅草に出かけた。最近の浅草は、外国人観光客も多く賑わいは半端ではない。人力車のお兄ちゃんが声を張り上げている。浴衣を着た女の子が形ばかりに扇子をあおいでいる。新仲見世に入るとすぐ右側に鰻のつるやがある。多くの店が変わる中でここは健在だ。今半本店も賑わっている。驚いたのは、もんじゃ焼きの店が増えたことだ。昔は浅草のもんじゃと言えば、染太郎と相場が決まっていたが、新仲見世だけで、新しい店が5軒あった。加えて増えたのは包丁屋だ。いったいどういう理由なのだろうか。唐辛子の薬研堀は昔と少しも変わらない。隣に店を構えていた「余荷解屋(よにげや)」が懐かしい。

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アカシアのロールキャベツや夏祓

6月30日。今年も半分が終わる。この日に、全国の神社で名越の祓が行われる。半年間の穢れを祓い、続く半年を無病息災で過ごせるように願う神事である。俳人の深見けん二は《三味線の稽古にはげみ夏祓》と詠んでいる。ぼくの場合は何だろうと考えて、冒頭の句となった。1年ほど前の夏だった。学生時代から通っている懐かしい新宿のアカシアにいつものロールキャベツを食べに行った。ドロドロした何とも言えないスープに何の肉かよくわからないロールキャベツが二つ浮いている。50年前と店も料理も変わらない。今でも人気らしく行列ができている。1250円。値段だけは高くなったが、他は昔のままだ。ところがその日、異変があった。

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水の町水の都の青葉陰

この日も沼津の加藤学園で午後の授業がある。少し寝坊し駅に向かった。東横線が動いていない。いつも空いているホームに人が溢れている。これには、少し焦った。新横浜で切符を買うにも時間がかかる。ジパング倶楽部の会員で割引になるのはいいのだが、いちいち列に並んで買わなければならない。列の長さにうんざりする。時刻表を見る。のぞみは何分おきかにじゃんじゃん来るのに対して、三島に停まるこだまは、30分に1本しかない。こんなことにイライラしている自分にイライラしている自分がおかしかった。新幹線に乗ってしまえば、三島はあっという間だ。思い立って三島で降りた。駅からすぐそばの鰻屋に見覚えがあった。

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春の雨ドームの中の星の旅

急に暖かくなってきた。新緑を求めて出かけたいところだ。しかし、あいにくの雨。しかも一日降り続くという。思い出したのはプラネタリウムだ。横浜の駅のすぐそばにあると知った。コニカミノルタプラネタリウム。案内には横浜駅から6分とあったが、雨の中を20分以上歩いてしまった。どうやら逆に歩いてしまったようだ。到着したのは上映の直前だった。係の方が椅子の倒し方を手ほどきしてくれた。観客は20人ほどだろうか。投影機など、どこにもない。LEDの鮮やかな映像が、目の前に360度広がって飛び込んでくる。星空を見に行くというよりは、全天に広がる景色と星空の中に体が吸い込まれるかのようである。