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春の雨ドームの中の星の旅

小山正見

急に暖かくなってきた。新緑を求めて出かけたいところだ。しかし、あいにくの雨。しかも一日降り続くという。
思い出したのはプラネタリウムだ。
横浜の駅のすぐそばにあると知った。
コニカミノルタプラネタリウム。
案内には横浜駅から6分とあったが、雨の中を20分以上歩いてしまった。どうやら逆に歩いてしまったようだ。
到着したのは上映の直前だった。係の方が椅子の倒し方を手ほどきしてくれた。観客は20人ほどだろうか。
投影機など、どこにもない。LEDの鮮やかな映像が、目の前に360度広がって飛び込んでくる。
星空を見に行くというよりは、全天に広がる景色と星空の中に体が吸い込まれるかのようである。
昔のプラネタリウムと雲泥の差だ。
ここ、横浜コニカミノルタプラネタリウムの開館は2022年だという。コニカミノルタと言えば、カメラの会社だったはずだ。こんなところで生きていたのか。
子供の頃、ぼくは毎月のように渋谷の五島プラネタリウムに通った。映像は決まって夕暮れから始まった。夕焼けの赤が次第に濃くなり、やがて星が見え始める。最初に金星が紹介される。エンターテイメントというより、学習的な内容だった。北極星の探し方や各種の星座など、ぼくは宇宙に対する知識と興味をあそこで身につけた。
七夕の織姫星として名高い「ベガ」は太陽を10個も15個も飲み込む大きさと知ったのも渋谷のプラネタリウムだ。
背もたれが倒れるあの木の椅子が懐かしかった。
LEDの映像に十分に魅了され、酔いしれた時間ではあったが、昔の渋谷東急文化会館の8階にあった五島プラネタリウムの投影機の懐かしさが心に蘇った時間でもあった。
外に出ると雨は降り続いていた。頭の中には、星の旅の鮮烈な映像がまだ残っていた。