俳句フォトエッセイ2026.08.04アカシアのロールキャベツや夏祓小山正見6月30日。今年も半分が終わる。この日に、全国の神社で名越の祓が行われる。半年間の穢れを祓い、続く半年を無病息災で過ごせるように願う神事である。俳人の深見けん二は《三味線の稽古にはげみ夏祓 》と詠んでいる。ぼくの場合は何だろうと考えて、冒頭の句となった。1年ほど前の夏だった。学生時代から通っている懐かしい新宿のアカシアにいつものロールキャベツを食べに行った。ドロドロした何とも言えないスープに何の肉かよくわからないロールキャベツが二つ浮いている。50年前と店も料理も変わらない。今でも人気らしく行列ができている。1250円。値段だけは高くなったが、他は昔のままだ。ところがその日、異変があった。おなかが痛くなったのだ。あまりの苦しさにトイレに閉じこもった。それでも痛みは増すばかり。冷や汗さえ出てきた。見かねたお店の人が従業員用のトイレに案内してくれた。ひどい便秘が原因だ。それ以来、そのことがトラウマになって、アカシアに近づけなかった。今日、アカシアに寄ってみようと思ったのは、俳句の授業での小学校一年生の女の子の言葉のおかげである。「どこか行ってみたいところはある?」「うん、過去に行ってみたい。」「なぜ?」「だって、未来には歳とれば行けるでしょ。でも、過去は絶対に行けないから」うまいことを言うものだ。その言葉に背中を押されて、ぼくも過去に行ってみようと思ったわけだ。幸い、腹痛は起こさず、無事に帰宅できそうである。
6月30日。今年も半分が終わる。この日に、全国の神社で名越の祓が行われる。半年間の穢れを祓い、続く半年を無病息災で過ごせるように願う神事である。
俳人の深見けん二は《三味線の稽古にはげみ夏祓 》と詠んでいる。
ぼくの場合は何だろうと考えて、冒頭の句となった。
1年ほど前の夏だった。学生時代から通っている懐かしい新宿のアカシアにいつものロールキャベツを食べに行った。
ドロドロした何とも言えないスープに何の肉かよくわからないロールキャベツが二つ浮いている。50年前と店も料理も変わらない。
今でも人気らしく行列ができている。
1250円。値段だけは高くなったが、他は昔のままだ。
ところがその日、異変があった。おなかが痛くなったのだ。あまりの苦しさにトイレに閉じこもった。それでも痛みは増すばかり。冷や汗さえ出てきた。見かねたお店の人が従業員用のトイレに案内してくれた。ひどい便秘が原因だ。
それ以来、そのことがトラウマになって、アカシアに近づけなかった。
今日、アカシアに寄ってみようと思ったのは、俳句の授業での小学校一年生の女の子の言葉のおかげである。
「どこか行ってみたいところはある?」
「うん、過去に行ってみたい。」
「なぜ?」
「だって、未来には歳とれば行けるでしょ。でも、過去は絶対に行けないから」
うまいことを言うものだ。
その言葉に背中を押されて、ぼくも過去に行ってみようと思ったわけだ。
幸い、腹痛は起こさず、無事に帰宅できそうである。