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境内の春弾けをり終の寺

小山正見

境内の梅の花は既に満開。隣の夏蜜柑の黄色とマッチして春を演出している。枝の間からは本堂が垣間見える。
この寺は、真言宗智山派の延命寺。縁起のいい名前の寺だ。川崎駅から歩いて10分ほどの距離にある。江戸時代に造られた寺院だ。境内は静かで良く手入れがされている。時期になれば見事に咲くであろう紫陽花がすでに小さな芽をつけている。
延命寺という同じ名前のお寺は関東にいくつもある。
鎌倉の材木座にもあるし、逗子にもある。
逗子の延命寺は天平時代に創建されたと伝えられているから歴史が古い。
延命寺関係で一番有名なのは、荒川区にある延命院だろう。こちらは日蓮宗の寺院で八百屋お七縁の寺として知られる。
この寺で起こったのが「延命院事件」である。イケメン坊主日潤と大奥女中との密通事件である。日潤は色男であっただけでなく、話しも上手く多くの女性信者に人気があったらしい。大奥までは捜査の手は延びなかったようだが、日潤は死罪になった。
この事件は明治に入ってから河竹黙阿弥によって歌舞伎の舞台に乗せられ、五代目尾上菊五郎の主演で上演された。ますます有名になるはずだ。
そんなこととは関係なく、川崎の延命寺の境内はどこまでも静かでおだやかだった。寒波も過ぎ、暖かさがやってきた。