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満を持して天を向きたる花水木

小山正見

桜の季節が終わりに近づいてきたと思ったら、それを待っていたかのように花水木がすでに小さな蕾をほどき始める。
桜の花が下を向いて咲くのに対して、花水木の花は天を向いて咲く。
最近はぼくの歩く道にも花水木をよく見かける。春の開花はもちろん、秋の紅葉も美しく、一年を通して目を楽しませてくれる。歩道を壊しにくいおとなしい根、葉が横に広がり、歩道に柔らかい影を作るのも好ましい。
加藤楸邨は《一つづつ花の夜明けや花みずき》と詠んでいる。
花水木はアメリカ原産でアメリカヤマボウシとも呼ばれる。
こんな歴史がある。
ワシントン、ポトマックのほとりの見事な桜をご存知だろう。明治の終わり、当時の東京市長だった尾崎行雄が贈ったものだ。
その返礼として、アメリカから贈られたのが花水木だったのだ。
花水木は、アメリカではドッグウッドと呼ばれ、春の象徴であると共に、復活や永遠の象徴でもある。日米の友情が永遠であるようにという、友好の印が花水木なのだ。
花水木は、今日本にすっかり溶け込んでいる。
現在、日本とアメリカの関係は悪くない。しかし、最近のニュースを眺めていると、卑屈に顔色をうかがうような釈然としない空気を感じているのは、ぼくだけだろうか。
これから咲く花水木の凛とした姿を眺めながら、真の友好をと願いたくなる。

都政新報4/14付 「暮らしを楽しむ俳句フォト」28