俳句フォトエッセイ2025.11.19東京の真ん中にゐて杜鵑草(ほととぎす)小山正見豊島区の目白庭園に出掛けた。住宅地の真ん中にあるこの公園は1990年に作られ日本庭園である。それほど広くはないが(と言っても千坪近くある)池あり、滝ありでなかなか風趣に富んだ庭園だ。西武線の線路脇に位置しているのに、電車の音は気にならない。近くには、鈴木三重吉が起こした「赤い鳥社」の跡地があり、説明板が立っていた。目白庭園の入園料は無料。池の端に建つ六角浮見堂に座り、色づき始めた樹々を眺めると都心にいることを忘れる。結婚式の前撮り写真であろうか、白無垢や打掛を着た花嫁さんの姿が眩しい。七五三の記念写真を写している親子もいる。野草園と示された一角には、秋明菊や杜鵑草が花をつけていた。杜鵑草は花びらの紫の斑点が鳥のホトトギスの胸の模様と似ていることから名付けられたと言う。ホトトギスは「トッキョキヨカキョク」と鳴く鳥で、口の中が赤いので、血を吐くまで鳴く鳥とされている。正岡子規の「子規」はホトトギスのことで、彼が結核を患っていたことからつけたペンネームだ。俳人の名前にはこういう自虐的な名前が多い。高浜虚子の「虚子」は本名の「きよし」をもじったものだし、中村草田男の「草田男」は友人に「お前は腐った男だ」と言われたことに依るとされている。飯田蛇笏は「蛇の骨」だし、村上鬼城は鬼の城だ。ぼくの俳号は「正見」で本名のままだが、正しく見ることなどできやしないから「正しくものが見えない正見」という意味では自嘲的で皮肉な名前になるだろう。
豊島区の目白庭園に出掛けた。住宅地の真ん中にあるこの公園は1990年に作られ日本庭園である。それほど広くはないが(と言っても千坪近くある)池あり、滝ありでなかなか風趣に富んだ庭園だ。西武線の線路脇に位置しているのに、電車の音は気にならない。
近くには、鈴木三重吉が起こした「赤い鳥社」の跡地があり、説明板が立っていた。
目白庭園の入園料は無料。池の端に建つ六角浮見堂に座り、色づき始めた樹々を眺めると都心にいることを忘れる。
結婚式の前撮り写真であろうか、白無垢や打掛を着た花嫁さんの姿が眩しい。七五三の記念写真を写している親子もいる。
野草園と示された一角には、秋明菊や杜鵑草が花をつけていた。
杜鵑草は花びらの紫の斑点が鳥のホトトギスの胸の模様と似ていることから名付けられたと言う。
ホトトギスは「トッキョキヨカキョク」と鳴く鳥で、口の中が赤いので、血を吐くまで鳴く鳥とされている。正岡子規の「子規」はホトトギスのことで、彼が結核を患っていたことからつけたペンネームだ。
俳人の名前にはこういう自虐的な名前が多い。
高浜虚子の「虚子」は本名の「きよし」をもじったものだし、中村草田男
の「草田男」は友人に「お前は腐った男だ」と言われたことに依るとされている。
飯田蛇笏は「蛇の骨」だし、村上鬼城は鬼の城だ。
ぼくの俳号は「正見」で本名のままだが、正しく見ることなどできやしないから「正しくものが見えない正見」という意味では自嘲的で皮肉な名前になるだろう。