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花冷の我を迎ふる我が家かな

小山正見

夜になるとまだ寒い。その上、冷たい雨だ。駅から家までの距離が遠く感じる。
ようやく我が家だ。鍵を開けて中に入ると暖かい。寒さからやっと解放された気分だ。
母が亡くなってから、ぼくはこの家に住んでいる。丸12年ということになる。表には、小山正孝の表札がまだある。
今の家が建ったのは、今から60年前だ。
我が家があるこの場所は、同潤会の分譲住宅だった。6畳、4畳半、3畳に狭い台所が付いていた。
老朽化が進み、引越しも検討したようだが、結局家を建て直すことを選んだ。
設計を依頼したのは、建築家の生田勉氏。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%94%B0%E5%8B%89
立原道造全集の編集を通して、深い付き合いがあったようだ。
ぼくも一度だけ会ったことがある。吹抜けのある家を提案して笑われたことだけ覚えている。
金がないことはわかっていたので「土地の真ん中に家を建て、お金ができたら、広げればよい」と提案されたようだ。
60年も前の家なのに、台所にお湯が出ることや2階にもトイレを作るなど当時としては最先端の考え方ではなかったのか。間接照明も凝っていた。住んでいて、今でも少しも古びた感じがしない。
現在の我が家は、生田氏の提案通り、いくつかの改築や、スペース感泣亭の増築を経て今に至っている。
建築当時の写真がほとんど残っていないのは少し残念である。