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蕊伸ばしいよいよ妖し曼珠沙華

小山正見

 今年の曼珠沙華は例年より遅かった。暑さのせいだと言われている。しかし、その曼珠沙華もそろそろ終わりだろう。
 夏の間、曼珠沙華は地下茎しかない。秋になると急速に茎が伸び始め、お彼岸の頃には花盛りになるので、彼岸花とも呼ばれる。
 曼珠沙華(まんじゅしゃげ)の名前はサンスクリット語から来ている。仏教では、吉事があると天上から降るとされる花の一つとされ、「天上の花」と言う意味があると言う。
 俳句の世界でも曼珠沙華は様々に詠まれてきた。
 山口誓子の「突き抜けて天上の紺曼珠沙華」や森澄雄の「西国の畦曼珠沙華曼珠沙華」などは特に有名だ。
 おめでたい花で天蓋花と呼ばれる一方、死人花とか幽霊花など縁起でも無い異名もある。
 姿の奇妙さや根に毒があり墓場などに咲いているからだろう。
 確かに蕊を思い切り伸ばしたその姿には妖しい色気が漂っているようにも感じられる。

都政新報10/7付 
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