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たわわてふ言葉似合ひし式部の実

小山正見

我が家には、小さな庭がある。そこに式部の実がたわわにみのった。毎年式部の実はなるが、こんなに多く、また色鮮やかなのは初めてだ。
式部の実は、正確に言えば、紫式部の実であり、「実むらさき」とも呼ばれる。
写真はもしかしたら近縁種の「小紫」の可能性もあるが、これも式部の実に違いない。
ぼくは、この家で生まれた。6畳、4畳半、3畳の部屋に小さな台所が付いた家だった。戦前に同潤会が建てた戸建て住宅の一つである。戦後すぐという時期を考えると立派な住宅だったと言ってもよい。
子どもの頃の記憶を辿ると、庭には桜の木も梅の木もあった。正面には幹のしっかりしたヒマラヤ杉が聳えていた。
ぼくが小学生の時、食べた柿の種をぷいと吐き出したら、芽が出た。当然渋柿だが、接木したら立派な柿の木に育った。一時は食べきれないほどの柿が取れた。
スペース感泣亭を作った時に残念ながら、それらの木は全部切ってしまったが、小さな庭が残った。
妻の邦子がそこに手を入れた。槇や侘助の木を植えた。南天が赤い実をつけ、梅雨時期には、紫陽花の青が庭を飾った。狭いながら味のある瀟洒な庭が出来上がった。
妻がグループホームに入ってから、その庭が荒れている。
どうにかしなければ。どうにかしたい。どうにかしよう。

この句の季語秋

式部の実しきぶのみ

「紫式部」の言い換えの季語です(傍題)

紫式部:秋、小さな紫色の実を枝いっぱいにつける落葉低木。式部の実、実紫ともいう。