俳句フォトエッセイ2026.03.13とんかつの脂の匂ひ蜆汁小山正見とんかつに味噌汁は付き物だ。具はさまざまだが、ぼくは蜆汁がいい。箸に当たる蜆の感触、コクのあるだしが何とも言えない。とんかつの脂っこさが途端に消える。 「蜆汁」は春の季語だ。 蜆と言えば、宍道湖、松江である。 NHKの朝ドラ「ばけばけ」で松江はずいぶん賑わっているらしい。 俳人辻桃子は「宍道湖の今朝の濁りや蜆汁」と詠んだ。 蜆には旬が年に2回あるとされているが、産卵を控える春が1番美味だという。身が肥え始め、味が濃く、だしがよく出るからだ。 かつて、神保町に「いもや」というとんかつ屋があった。いつ行っても行列だった。 メニューはロースかつとヒレかつの2つだけ。それに大鍋から無造作に掬った蜆汁が付く。 煮出したような蜆汁が絶品だった。 とんかつを食べる度に、ぼくはいもやの蜆汁を思い出す。都政新報2/24付「暮らしを楽しむ俳句フォト」です。
とんかつに味噌汁は付き物だ。具はさまざまだが、ぼくは蜆汁がいい。箸に当たる蜆の感触、コクのあるだしが何とも言えない。とんかつの脂っこさが途端に消える。
「蜆汁」は春の季語だ。
蜆と言えば、宍道湖、松江である。
NHKの朝ドラ「ばけばけ」で松江はずいぶん賑わっているらしい。
俳人辻桃子は「宍道湖の今朝の濁りや蜆汁」と詠んだ。
蜆には旬が年に2回あるとされているが、産卵を控える春が1番美味だという。身が肥え始め、味が濃く、だしがよく出るからだ。
かつて、神保町に「いもや」というとんかつ屋があった。いつ行っても行列だった。
メニューはロースかつとヒレかつの2つだけ。それに大鍋から無造作に掬った蜆汁が付く。
煮出したような蜆汁が絶品だった。
とんかつを食べる度に、ぼくはいもやの蜆汁を思い出す。
都政新報2/24付「暮らしを楽しむ俳句フォト」です。