【初心者歓迎】俳句フォトの会 会員申込はこちら

不純とはいつたい何か梅雨深む

小山正見

御徒町にある「不純喫茶」については、【銭湯紀行】その15で若干触れた。
奇妙奇天烈で何となく「反道徳」的な匂いがする。そして、そこに魅力がある。
すぐ思い出すのが「不純異性交友」という言葉だ。大人が未成年に対して性的な交際をすることは、青少年保護条例などで禁じられている。当然の話だ。しかし、「不純異性交友」にはそれとは違ったニュアンスがある。未成年同士の少し危なっかしい交際を「そんなことはしてはいけません」というニュアンスで大人の立場から表現したものだろう。
ぼく自身については、その方面には全く奥手だったので縁遠かった。しかし、友だちにはいつも二人で一緒に行動し、校門で待ち合わせて一緒に下校したりしていた奴がいた。彼らは青い青春を謳歌していたのだろう。ぼくには全く関係ないと強がっていたが内心は羨ましくて仕方なかった。
「不純喫茶」からふと「不純」という言葉の法的な境界線はどうなっているのだろうと気になった。大真面目に調べてみると「不純異性交友罪」などというものは存在しないことがわかつた。ただ年齢差によって刑法に触れる可能性があるという。なるほどただの年齢制限の話か。
こんなことに80歳近くになって興味を持つこと自体おかしくはないか。もしかしたら、ぼく自身が不純な不良老年なのかもしれない。
そう思った時、父・正孝の詩が頭に浮かんだ。

あひびき   小山正孝

公園は夜になつてからが面白い
生き生きとしはじめる
噴水は背伸びしてあばれはじめる
男は女をはげしく抱きしめる
木立の上からの月の光
はるか離れた場所からの電燈の光
草むらにかくれて猫の目が光る
女は言つた
「入口に痴漢にお気をつけ下さいつて書いてあつたわ」
男は言つた
「愛してゐる場合はちがふ」
鳥達が次第に下の枝に移りはじめる
男の肩をたたくものがあつた
「おい」
といふ声が聞こえたやうにも思へた
女の肩もたたかれたらしい
女は言つた
「あら どんぐりだわ」
袴が露のしめりでゆるくなつて
あひびきの男女をびつくりさせたりして
公園は夜になつてからが面白い

今のぼくと同じくらいの年齢の時に父が書いた詩だ。
不純な不良老年は血筋のせいだと自分を納得させることにしよう。