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立秋や入道雲の根を探す

小山正見

今週の東京は比較的涼しかった。
しかし、週末になって暑さがぶり返した。
考えてみれば、もう立秋だ。
鬼貫に《そよりともせいで秋たつ事かいの》の句があるように立秋と言っても、体感からすれば夏の盛りに近い。
「なぜ夏の真っ最中なのに秋なのか」
この問いに納得させられたのは次の説明である。
「西洋では暑い時が夏、寒い時が冬と考えるが、東洋では一番暑い時が過ぎたら秋が始まると考えるんだ」
なるほど、だから二十四節気「大暑」の次が「立秋」になっているのか。

見上げると空には見事な入道雲が聳え立っている。これからが暑さの本番になるかのようだ。
「しかし、待てよ」
俳人の曽根新五郎さんに教えていただいたことを思い出した。
2年前のことだ。学校俳句研修会の合宿で新島を訪れ、曽根新五郎さんに講師になっていただいた。
港に出迎えに来てくださった新五郎さんは、雲を指差して
「夏の雲と秋の雲は違うんだ」
とおっしゃった。そして続けた。
「秋の雲には根がないんだよ」

ぼくは、新五郎さんの言葉を思い出し、目の前の見事な入道雲の根を探した。
あんなに壮大で逞しい雲なのに、よく見ると根がなかった。
どんなに暑くても秋はそこまで来ているのかもしれない。