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成り行きの台風一過の出逢ひかな

小山正見

朝から晴れた。いったい何日振りだろう。台風一過といってもよい。
この日は、三郷での仕事の帰りに入谷で降りた。「ヒラノマコト展」が開催されていたことをふと思い出したからだ。前回は、京王プラザホテルだった。
会場のいりや画廊は少しわかりにくい場所だったが、スマホの地図を頼りにたどり着くことができた。
「今回は、大きい絵を展示したかったから」
と平野さんは、この画廊を会場にしたわけを話してくれた。
彼は、ぼくよりも5つ年下だが、現在も早稲田大学の博士課程で文化人類学を専攻している。
彼が取り組んでいる現代アートの源泉を探ることが、その理由らしい。
平野さんは、40年以上前に父・小山正孝と出会っている。「感泣亭秋報十八」に平野さんは、その経緯を説明している。
新宿のケーキ屋の2階で個展を開いている時、突然正孝が現れ、彼の作品を見て、「詩画集」を作ることを提案したというのだ。結局、その詩画集は幻と終わったが、交流が続いたというわけだ。
どうして父・正孝が平野さんの作品を気に入ったのか探ってみた。
その時の平野さんの作品『夜のうた』は、版画集だった。その作品世界は、正孝が愛したフランス・マシーキルの版画集『光明的追求』とどこかつながっている。それがぼくの意見だったが、平野さんによれば、更にその奥があり、魯迅に行き着くという。魯迅は、正孝が卒業論文にした題材である。
この時刻、来客は幸いぼく一人だった。長い時間を話し、幻の詩画集を世に出す案へも話は発展した。
40年以上前にふらりと正孝が平野さんの個展に姿を現した。その偶然が今になってぼくへと繋がっている。人の出逢いとは存外そんなものかもしれない。
ぼくは、毎回大胆になるヒラノマコトの作品に圧倒されながら帰路についた。

この句の季語秋

台風たいふう

夏から秋にかけて日本を襲う、強い風雨をともなう熱帯低気圧。