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梅雨空に弾ける笑顔弾む声

小山正見

武蔵小杉から元住吉の間に気になるお菓子屋さんがあった。「おかし工房しいの実」とかわいらしい看板が下がっている。先日、運営母体であるしいのみ会の「地域交流カフェ」の集いがあった。知ったのは、ここが知的障害者の人たちの就労を支える作業所だということだ。
しいの実会は作業の中心をお菓子作りに置いている。シフォンケーキから始まって、クッキーやパン、和の素材の商品化にも力を入れている。収益は工賃としてメンバーに還元されるという。
 参加して驚いたのは、メンバーの礼儀正しさだ。言葉遣いやお菓子やコーヒーを運ぶ所作の一つ一つが実に丁寧なのだ。明るい声が響く。職員やボランティアの方々に支えられながら生き生きと働いている。
 出されたシフォンケーキはほんのり甘く上品な味だ。毎日、売り切れるほどの人気だというのが分かるような気がする。
 近くから通っているメンバーの一人Aさんは、お菓子作りばかりか接客も呼び込みもするという。「作業が楽しい」ととびきりの笑顔で話してくれた。
 職員に交じってボランティアも多い。この日は合唱を指導される先生も参加されていた。近所の町会の方々の顔も見える。開所以来の付き合いがあるらしい。赤ちゃんを抱えた若い夫婦も一緒にコーヒーを飲んでいた。
 施設長の近松さんの笑顔も優しい。「メンバーがここで働いて楽しく暮らす」ことや「地域社会とのつながりと相互理解を大切にしていきたい」と力を込める。最近は、アイデアを生かしてアクセサリーなどの創作にも力を入れ始めているという。
 いただいたパンフレットを開いたら賛助会員という制度があることを知った。メンバーの様子を思い浮かべながら、ぼくも微力ながら応援したいと思った。明るい笑顔と声が、梅雨空を忘れさせてくれた。

東京新聞川崎版6/14付 「小山正見のかわさき俳句フォト」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/495003