俳句フォトエッセイ2026.10.11爽やかや佐伯誠の手紙展小山正見台風の雨が激しい。会場は、田園調布と自由が丘の間にある「スペースengawa in」である。ここは、ぼくにも懐かしい場所だ。妻と一緒の散歩でよく立ち寄った。緑に囲まれた庭をもつ民家、素敵な空間だ。佐伯誠さんがこの場所をこよなく愛していたことを初めて知った。荒天にも関わらず、会場には30人を超す人々が集まっていた。壁には、佐伯さんが生前に送った手紙や葉書、ファックスの類がこれでもかとばかり展示されていた。単なる手紙なのに、そのどれもが美しい。字に味があり、それにちょっとしたイラストが添えられている。佐伯さんは、ポップな才人なのだ。彼は、全日空の機内誌「翼の王国」でのエッセイの執筆をはじめ、様々な雑誌で活躍した。ジャズ、ハードボイルド、ボクシング、映画など幅広い興味を持ち、各分野で交友を広げていた。そして、今夜はそういう人たちが集まったのだ。ぼくは、山崎剛太郎さん(詩人・フランス映画字幕翻訳者)の縁で彼と知り合った。山崎さんの偲ぶ会を、発起人として一緒に運営した仲である。2、3ヶ月に一度田園調布で会い、長いこと話し込んだ。どんなに話しても飽きない人だった。この会でも山崎さんの話が出て嬉しかった。昨年の春、自由が丘をほっつき歩いて、ある喫茶店に入ったら彼がいた。しかも、若い妙齢なご婦人と一緒だった。それが奥様の加寿子さんと紹介されて、びっくりした。それが最後だった。8月11日に彼は、帰らぬ人になった。今でもぼくには佐伯誠が亡くなったという実感はない。帰り際、ぼくは思わず加寿子さんに「帰ったら、彼によろしく」と言ってしまった。この句の季語秋爽やかさわやか秋、空気が澄んで、心身ともにすがすがしく感じられること。「爽やか」の俳句フォトをもっと見る(3句)俳句フォト歳時記
台風の雨が激しい。会場は、田園調布と自由が丘の間にある「スペースengawa in」である。ここは、ぼくにも懐かしい場所だ。妻と一緒の散歩でよく立ち寄った。緑に囲まれた庭をもつ民家、素敵な空間だ。佐伯誠さんがこの場所をこよなく愛していたことを初めて知った。
荒天にも関わらず、会場には30人を超す人々が集まっていた。
壁には、佐伯さんが生前に送った手紙や葉書、ファックスの類がこれでもかとばかり展示されていた。単なる手紙なのに、そのどれもが美しい。字に味があり、それにちょっとしたイラストが添えられている。佐伯さんは、ポップな才人なのだ。
彼は、全日空の機内誌「翼の王国」でのエッセイの執筆をはじめ、様々な雑誌で活躍した。ジャズ、ハードボイルド、ボクシング、映画など幅広い興味を持ち、各分野で交友を広げていた。
そして、今夜はそういう人たちが集まったのだ。
ぼくは、山崎剛太郎さん(詩人・フランス映画字幕翻訳者)の縁で彼と知り合った。山崎さんの偲ぶ会を、発起人として一緒に運営した仲である。2、3ヶ月に一度田園調布で会い、長いこと話し込んだ。どんなに話しても飽きない人だった。
この会でも山崎さんの話が出て嬉しかった。
昨年の春、自由が丘をほっつき歩いて、ある喫茶店に入ったら彼がいた。しかも、若い妙齢なご婦人と一緒だった。それが奥様の加寿子さんと紹介されて、びっくりした。
それが最後だった。8月11日に彼は、帰らぬ人になった。
今でもぼくには佐伯誠が亡くなったという実感はない。
帰り際、ぼくは思わず加寿子さんに
「帰ったら、彼によろしく」
と言ってしまった。