俳句フォトエッセイ2026.10.13秋の夜の心揺さぶる読書会小山正見感泣亭で毎月一回、土曜日の夜に「読書会」が行われている。主宰者は、看護師のKさんである。この会に出ると毎回何らかの収穫があるのだが、この夜も心を揺さぶられた。一つは森山大道の『三沢の犬』と題された一匹の野良犬の写真である。森山大道は、荒木経惟と並ぶ日本を代表する写真家の一人だ。もう一冊は、『ケアと編集』という岩波新書の一冊である。著者は白石正明氏。医学書院の《ケアをひらく》のシリーズを手がけた編集者である。その彼がこれまで手がけた、それぞれの本の内容や編集プロセスを振り返った本だ。その中で、彼は「ケア」と「編集」はどちらも、その人が持つ<傾き>を無理に変えようとせず、そのままで生きられる背景(言葉、人間関係、環境)を整えること」だと述べている。ケアとは「今ここ」をよくすることだと本の紹介者のNさんは捉える。苦痛を取り除き、嫌なものを減らし、本人がその場で楽に過ごせるようにする。目的と現在が同じ場所にある。これに対し、治療は未来の改善を目指す。今は苦しくても、将来よくなるために耐えることを求める場合がある。紹介者は、教育もこの治療側に近いと見た。受験やスポーツでは、将来の結果に向けて現在を我慢できる人が評価されやすいと言う。確かにその傾向はある。未来志向は必要だが、問題は、未来だけを目的にすると現在の価値が薄れる点にある。「合格のための勉強」は苦しいが、知ること自体が楽しい勉強なら内容が入りやすく、幸福感も生まれる。目的を自分の外に置くほど、現在は未来の手段になり、味気なくなるという。実に納得のいく話だった。ぼくもこの歳になると、今から自分を変えたいとは思わない。一日一日を気楽に楽しく過ごしたいものだと改めて思った。この句の季語秋秋の夜あきのよ秋の夜。夜長で、静かでしみじみとした趣がある。「秋の夜」の俳句フォトをもっと見る(3句)俳句フォト歳時記
感泣亭で毎月一回、土曜日の夜に「読書会」が行われている。主宰者は、看護師のKさんである。
この会に出ると毎回何らかの収穫があるのだが、この夜も心を揺さぶられた。
一つは森山大道の『三沢の犬』と題された一匹の野良犬の写真である。森山大道は、荒木経惟と並ぶ日本を代表する写真家の一人だ。
もう一冊は、『ケアと編集』という岩波新書の一冊である。著者は白石正明氏。医学書院の《ケアをひらく》のシリーズを手がけた編集者である。その彼がこれまで手がけた、それぞれの本の内容や編集プロセスを振り返った本だ。その中で、彼は「ケア」と「編集」はどちらも、その人が持つ<傾き>を無理に変えようとせず、そのままで生きられる背景(言葉、人間関係、環境)を整えること」だと述べている。
ケアとは「今ここ」をよくすることだと本の紹介者のNさんは捉える。苦痛を取り除き、嫌なものを減らし、本人がその場で楽に過ごせるようにする。目的と現在が同じ場所にある。
これに対し、治療は未来の改善を目指す。今は苦しくても、将来よくなるために耐えることを求める場合がある。紹介者は、教育もこの治療側に近いと見た。受験やスポーツでは、将来の結果に向けて現在を我慢できる人が評価されやすいと言う。
確かにその傾向はある。
未来志向は必要だが、問題は、未来だけを目的にすると現在の価値が薄れる点にある。「合格のための勉強」は苦しいが、知ること自体が楽しい勉強なら内容が入りやすく、幸福感も生まれる。目的を自分の外に置くほど、現在は未来の手段になり、味気なくなるという。
実に納得のいく話だった。
ぼくもこの歳になると、今から自分を変えたいとは思わない。一日一日を気楽に楽しく過ごしたいものだと改めて思った。